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F A V O R I T E ー B O O K S 1 4 [f a v o r i t e s]

  • 小鳥たち(スチュディオ・パラボリカ 2019)山尾 悠子・中川 多理


  • 幻想作家と人形作家によるコラボ本。山尾悠子の歌集『角砂糖の日』(LIBRAIRIE6 2016)の挟み込み付録品だった手篇「小鳥たち」、『夜想#中川多理』(2018)に掲載された続編「小鳥たち、その春の廃園の」、書き下し「小鳥たちの葬送」‥‥〈小鳥に変身する城館勤めの侍女たち〉のイメージを気に入った中川多理が〈物語の中の少女〉シリーズの1つとして作品化。小説と人形(写真30点)が織りなす可憐で妖しい幻想譚。今どき珍しい薄桃色の糸綴じ製本で、奥付にはミルキィ・イソベ(発行人)や今野裕一(編集)の名前もある 274



  • 21匹のネコがさっくり教えるアート史(すばる舎 2019)ニア・グールド


  • 古代エジプト→ビザンティン→ルネサンス→ロココ→印象派→後期印象派→点描画法→象徴主義→フォーヴィズム→キュビズム→ダダイズム→デ・ステイル→マジックリアリズム→アール・デコ→シュルレアリスム→象徴表現主義→コブラ→ポップアート→ミニマリズム→グラフティ→ヤング・ブリティッシュ・アーティスト‥‥21の芸術運動をネコたちが自らモデルとなって解説する美術入門書。ニア・グールド(Nia Gould)は、それぞれのスタイルで描いていても、シュー・ヤマモトの「ネコ名画」のように絵まで似せていないので、「原画」を知らないと面白さが半減 273



  • 初恋まねき猫(講談社 2019)小手鞠 るい


  • 春休みのスキーで骨折した高橋龍樹(中2)は自宅療養している。退屈しのぎに自殺した姉・美雨の遺した日記(詩)を読んでいると、窓の外から春風に乗って歌声が聞こえて来た。「たんぽぽ堂文具店」の眉村しおり(小6)は古い商店街の外れの空き地で、自作曲「カバの季節」を歌っていた。観客はブルーグレイの猫サージュだけだった。六日目の午後、龍樹が寝ている1階の窓から一匹の銀色ネコが入って来た。恋に落ちた少年はアンジュと名づけ、ネコの顔を描いた紙を首輪に結びつける。ネコが手紙を運ぶ、少年と少女の文通が始まる 272



  • かがみの孤城(ポプラ社 2017)辻村 深月


  • こころ、アキ、リオン、フウカ、マサムネ、スバル、ウレシノ‥‥7人の不登校中学生(リオンはハワイに留学)が光る鏡を通り抜けて異世界へ通うファンタジー長編。城主の狼面少女(オオカミさま)は7人の「赤ずきんちゃん」にゲームを仕掛ける。5月から来年3月末までの開城中に、"願いの部屋" の鍵を見つけた1人だけが願いを叶えられるという。リオンを除く5人も雪科第五中学校の生徒であることが分かったのに、なぜか現実の中学校では会えない。パラレル・ワールドなのか、それともタイムスリップなのか、狼面少女は正体は? 271



  • 猫はしっぽでしゃべる(ナナロク社 2018)田尻 久子


  • 熊本県で小さな本屋「橙書店」を営む女店主のエッセイ集。巻末に47冊の書籍リストが挙げられているが、18篇の文章は活字中毒者の書評とは異なる。本を読んで、そこから見えるもの、感じたことについて書いている。喫茶店「orange」の隣に開店した本屋なので、詩人、写真家、作家など常連客たちとの親交もある。思っていること、言いたいことを過不足なく綴る文章も上手い。一緒に本を作ろうと提案した編集者の気持ちも分かる。執筆中に熊本地震が起こり、移転を余儀なくされた。タイトルは「路地裏の猫」の一節から採られている 270



  • 飛ぶ孔雀(文藝春秋 2018)山尾 悠子


  • 「飛ぶ孔雀」 「不燃性について」 のニ部構成。火が燃え難くなったり石が動いて成長する異世界の物語で、前編は川中島Q庭園の茶会で娘タエが孔雀に、後編は鶏冠のある大蛇になってしまう。登場人物はK、Q、P、Hなどのイニシャルで表記されるが、スワ(ン)、サワ、セツ、フキエ、リツなどは「頭髪のない丸い頭の女たち」が温室で興じるカード・ゲームで裏返されて別キャラになったりする。KやQを翻弄する正体不明女たちの如何わしさは「仮面物語」、正十角形の修練ホテルに出現する空洞は「遠近法」の《腸詰宇宙》を髣髴させる 269



  • ボヘミニャン・ラプソディ(シンコーミュージック・エンタテイメント 2019)


  • 映画「ボヘミアン・ラプソディ」(Bohemian Rhapsody 2018)に便乗したネコ写真集。生前のフレディとインスタグラムに投稿されたネコ写真で構成されている。「フレディとねこのはなし」ではネコの登場する場面が40カットもあるという映画やブライアン・メイに代わってフレディが歌う〈All Dead, All Dead〉のネコ・アニメ(Queenのアルバム《News Of The World》の40周年記念として制作された)などを紹介。フレディの口髭と同じように鼻の下が黒いネコやフレディと同じポーズを決めるネコをコレクション 268



  • ニール・ヤング 回想(河出書房新社 2019)ニール・ヤング


  • 『ニール・ヤング自伝』(白夜書房 2012)に続く「回想」は愛車に纏わるエピソードを中心に綴った特別版。ステージ上での癇癪、マリファナやコカインの摂取、妻と子供たち、亡くなった友人たちへの追悼‥‥音楽についての記述は少ないが、文中に自作曲の歌詞を多く引用。本人も「ほとんど病気だ」と書いているほどの旧車マニアで、最終章は新たな発電システムとバイオ燃料で走る車を開発するために自ら立ち上げたリンクヴォルト(LincVolt)に割かれている。全40章の扉絵も《Storytone》(Reprise 2014)のアルバム・カヴァのような歴代の愛車の自筆イラストで飾られている 267



  • 屍人荘の殺人(東京創元社 2017)今村 昌弘


  • 神紅大学映研の夏合宿に参加した学生10名、OB3名とペンション管理人。短篇映画の撮影を兼ねた肝試し、ゾンビ集団の襲来、紫湛荘で起こる連続殺人‥‥綾辻行人の「館シリーズ」のパロディかと思ったら、S県娑可安湖集団感染テロでゾンビ化したサベアロックフェスの観衆が紫湛荘を襲う「バイオハザード」みたいな設定だった。ホラーとミステリを抱き合わせた二重の密室殺人。殺人犯は人間なのか、ゾンビなのか。葉村譲(俺)の一人称視点で、屍人の餌食になった明智恭介に代わり、少女探偵・剣崎比留子が連続殺人事件を解明する 266



  • たのしい暮しの断片(平凡社 2019)金井 美恵子 / 金井 久美子


  • 生活情報誌「天然生活」に連載されたエッセイ(2016~18)を中心に編まれた金井美恵子のエッセイ集。姉・久美子の作品24点(絵画、イラスト、アッセンブラージュ)も掲載された愉しい造本になっている。『待つこと、忘れること?』(2002)の続篇的な内容とのことだが、70歳を越えて正月のおせち料理を作らなくなった金井姉妹の現在の生活と過去の記憶が色鮮やかに描かれる。「猫を預かる」 「猫の毛の色」 「猫の手ざわり」 「猫のいない生活の良さについて」 ‥‥ネコに纏わるエッセイには亡くなった愛猫トラーの絵も添えられている 265



  • 血染めの部屋(筑摩書房 1999)アンジェラ・カーター


  • 「青髭公」「美女と野獣」「赤ずきん」「眠れる森の美女」などをグロテスクに改変した英国女性作家の「大人のための幻想童話」。倉橋由美子の『大人のための残酷童話』(1984)と同趣向の換骨奪胎だが、アンジェラ・カーターの方が巧緻に描写されているので、マジック・リアリズム色が濃い。大富豪の実業家の許へ嫁いだ17歳の生娘が城主の留守に「拷問部屋」を発見する「血染めの部屋」。青年士官と深窓の貴婦人の恋路を飼い猫のフィガロと雌トラ猫(嫉妬深い夫の飼い猫)が協力して成就させる「長靴をはいた猫」‥‥など全10篇 264



  • 100万分の1回のねこ(講談社 2018)江國 香織 ほか


  • 佐野洋子の絵本『100万回生きたねこ』(1977)に愛を込めて捧げた短篇集。13人の作家による競作なので、書き手の本気度や力量が試される。「吾輩」の伝統なのか、角田光代、今江祥智、唯野未歩子、綿矢りさの使い古された猫語り(擬人化した1人称)は新鮮味に欠ける。ゲームの中に転生したネコ(おれ)の視点で描く川上弘美のような捻りがないと面白くない。岩瀬成子の描く少女(姉妹)の直感的な言動は瑞々しい。この種のトリビュート本は原作者の存命中に出版されてこそ意義がある。一番嬉しいのは作者本人だと思われるから 263



  • ほんやのねこ(白泉社 2018)ヒグチユウコ


  • 縫いぐるみのニャンコを主人公にした絵本シリーズ。第3集の主役は謎めいた本屋の女主人。来店した摩訶不思議な客たちとのエピソードが描かれる。遠くから来たニュータイプとトリモドキ、10人のオクトキャット「ギュスターヴくん」、オカヒトデとツチグリ、ニャンコと旅のねこの飼い犬、6匹の金魚、女の子たち(パンダとクマ)と病院の先生(犬)、ニャンコとアノマロ、こねこ(いらないねこ)、4人の紳士ネコたち、オバケにも宇宙人にも見える一つ目たち(ひとつめちゃん)‥‥本屋を訪れる客も奇妙だが、紹介される本も奇天烈 262



  • すきになったら(ブロンズ新社 2016)ヒグチユウコ


  • 赤いドレスの少女とワニくんの禁断の愛を描いた絵本。「すきになったら、しりたくなる」「すきになったら、わたしのことも、しってもらいたくなる」という少女のモノローグで、ワニくんとの交歓が語られる。ワニくんの読んでいる本を少女も読む。少女が奏でるヴァイオリンをワニくんが聴く。ワニくんの被っている黒い山高帽を少女も被る。少女は雛菊の花冠を髪に乗せて、ワニくんの帽子にも飾る。雛菊のブーケをワニくんに贈ると、少女にもワニくんと同じような尻尾が生えて来る 261


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    夜想#中川多理: 物語の中の少女


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