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刀か鉈か [p a l i n d r o m e]



  • お正月になるとうちは一応おせち料理のようなものを作る。年末のうちにつれあいと一緒に築地の魚市場に行って、はまちだとかまぐろだとか海老だとか野菜だとかをどっさり買いこんでくる。それでむちゃくちゃいっぱいおせち料理を作る。/ 僕は何をかくそうおせち料理が病的に好きである。僕はだいたい肉とか脂こいものをほとんど食べない人なので、おせち料理みたいに魚やら野菜の煮ものやらがちまちまといっぱい並んだ料理はなにしろ嬉しい。一カ月くらいおせち料理を食べつづけたってたぶん飽きないと思う。/ それから雑煮も好きだ。うちの雑煮は僕が鳥肉がきらいなのでかつおと昆布のだしで、ぶりの切身とみつばとしいたけとかまぼこと人参と大根とさといもと焼もちを入れたおすましである。二日目はぶりのかわりに鮭の切り身といくら。三日目はさわらを入れる。こういうのがさっと出てくるとつくづく幸せであるなあと思う。
    村上 春樹 「番外 お正月は楽しい」


  • ⃞「食ったら酒だ!」石原さとみ待つ夜。ツマミと皿は椎茸サラダ付く
    「ネコが好き」などとCMで愉しそうに主任に話しかけながら、グラスの中の酒と氷をマドラーで掻き混ぜて焼酎ロックを作っている石原さとみさんだが、本人も大酒豪らしい。毎晩食事の後で、酒盛りタイムに突入する。いつ果てるとも覚束ないウワバミ女と化す。決して酒乱というわけではないけれど、優しい言葉使いもべらんめえ調に変化して、態度も行動も大胆不敵になって行く。酒のツマミはアーモンドやピーナッツ、サキイカなどの乾きものが定番だったが、最近は大きな器が目を惹く。彼女の目の前に椎茸サラダの大盛りが置いてあるのだ。数年前、二日酔いに良く効くというシジミ汁から椎茸煮に代えてから無類のキノコ好きになり、予防策として飲酒中から大量の椎茸を食べるようになった。椎茸には悪酔いを防ぐだけでなく、ダイエット効果もあるという。超肉食女子からキノコ娘に大変身したした石原さとみ‥‥ちょっとシイタケ臭いかもしれない。

    ⃞ いざ、イチゴ狩り。絵描き、もぎ帰り、籠小さい
    愛媛県の農園でイチゴ狩りを満喫した。広大なビニール・ハウスの中に紅ほっぺ、あまおとめ、紅い雫などの品種が真っ赤な豆電球のように撓わに実っている。食べ放題、時間制限なし!‥‥イチゴ園の絵を描くという目的もあったので、時間を気にせずにイチゴ狩りを愉しめるのは嬉しい。でも色気(意味が違う?)よりも食い気なのか、写生もそこそこに切り上げ、赤い果実を摘んで頬張った。甘酸っぱい味覚と芳香が口腔に一杯に拡がる。苺に甘い練乳を垂らして食べるのは邪道ではないかという気もする。この至福の時間が永遠に続いて欲しいと思う。「いちご農園よ永遠に」という無我の境地に至った。苺のソフトクリームやスムージー、かき氷などのスイーツを食べられる「農園カフェ」も併設されている。食べ切れなかった苺の持ち帰りもOK(別途料金)。欲張ってイチゴを採ってしまったので、持参した小さな籠に入り切れなかった。

    ⃞ 気軽、悪ふざけ多い。大げさ振る悪ガキ
    宅配業者に悪態を吐いてチェーンソーで脅したり、コンビニやスーパーの店内で悪巫山戯する迷惑ユーチューバーが後を絶たない。目立ちたいだけの悪餓鬼のパフォーマンスならば、暴走族やフーリガンと大差ないけれど、チャンネルのフォロー数や動画の再生回数を増やすことで多くの広告収入を得たいという動機が浅ましい。一昔前に流行ったブログのアフィリエイトよりも手軽に高収入を得られるからだろうか。自らは何も行動を起こさず、事象に対して大袈裟に驚いて見せて閲覧数を稼ぐユーチューバーもいるらしい。ミーチューバー(自己チューバー?)と呼んだ方が相応しいかもしれない。可愛いネコ動画に癒されていると、逆にヒトの罪深さ、度を超した強欲さが際立つ。演技しない動物たちに人間は敵わない。大げさな身振りで視聴者の関心を惹こうとする行為は今に始まったことではない。スポーツを実況中継するアナウンサーやリアクション芸人もミーチューバーの同類である。

    ⃞ 毛が白いネコ恋しい。午後寝、色仕掛け
    交通事故でクルマに撥ねられたピーター少年は気がつくと1匹の茶トラに変身していた。一体わが身に何が起こったのか分からずに右往左往していた少年に救いの手を差し伸べたのが白ネコのジェニーだった。真っ白い毛並みに青い目‥‥もし人間ならば「美少女」と称すべきジェニーにピーターは初恋をした。世話好きの彼女は理想的な女性像でもあったのだが、ちょっとしたことから喧嘩別れして、今は離れ離れに暮らしている。どうして心にもない悪口を吐いてしまったのだろうかと深く後悔するピーター‥‥木陰で自問自答しながら微睡んでいると、1匹の黒ネコが近づいて来た。色っぽい仕草でピーターの気を惹こうとする。黒いビロードのように光る毛並みは純白のジェニーとは対照的で、底知れない性的魅力に満ちていた。美魔女の誘惑に負けた純朴な少年のように、女吸血鬼カーミラの抗えない魔力に魅入られた少女のように‥‥このままピーターは性悪魔性ネコの色仕掛けに嵌まってしまうのでしょうか?

    ⃞「良い子ね、みみずく可愛いわ」隠す耳ネコ言い
    実家の屋根裏に一羽のミミズクが棲んでいます。今年の夏、飼主と一緒に帰省した時に家の中を探索していて偶然発見したけれど、あたしの仲間かと一瞬思ったわ。まるで鏡を見ているように瓜二つだったのでビックリしちゃった。真ん丸い大きな目に、耳のように見える羽角(羽毛の束)‥‥一般に耳のあるのがミミズク(木菟)で、耳のないのがフクロウ(梟)といわれていますが、同じフクロウ科の猛禽類に見えます。あたしの耳も折れているので、フクロウやテディベアに似ているって良く言われるの。もちろん「可愛い」という褒め言葉の方が圧倒的に多いけれど。女性動物写真家のレイチェル・ヘイルさんも『世界の美しい猫 101』の中で、《抜群に気立てが優しく、穏やかなスコティッシュ・フォールドは、スコットランドの羊飼いによって1961年に発見された。前方に折れ曲がった、今までに見たこともないような耳を持つ、1匹の白いメス猫が生まれてきたのだ。そのような耳のせいか、その子猫はまるでフクロウのように見えた》と解説しています。

    ⃞ 八戒、川獺に尼僧、若い河童
    「西遊記」の主人公・孫悟空はサルではなく、カワウソだった?‥‥という新説が今話題になっている。三蔵法師の家来はブタ人間の猪八戒、河童の妖怪・ 沙悟浄、石猿の孫悟空の3人だが、年老いた川獺がサルの姿に化けていたという珍説もある。「現実の玄奘三蔵の取経の旅は西暦629年から645年に行われた。その事績が仏教徒の間で伝説化し、神聖視された痕跡が各地に残されている」(Wikipedia)‥‥ 中国・敦煌の洞窟で新たに発見された壁画には行脚僧(玄奘三蔵)と共に虎と川獺が描かれていたのだ。川獺が猿に変わった経緯は今も不明だが、川に棲む河童との混同を避ける意味合いもあったのかもしれない。実は三蔵法師は男性ではなく、若くて美しい尼僧だったという異説もある。TVドラマ「西遊記」(NTV 1978)の三蔵法師役は女優の夏目雅子、「新・西遊記」(1994)は牧瀬里穂、「西遊記」(CX 2006)も深津絵里が演じていたではないか。

    ⃞ マツコ・デラックス待つ夏、マスク面で子・妻
    レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー‥‥LGBTであることをカミング・アウトする著名人が増えてる。自ら告白することで、あらゆる性差別を根絶しようとする強い意志が感じられる。性的マイノリティである被害者から告発者への転身‥‥男女差別や人種差別などと同じく、根深い差別意識が人間の内部に潜んでいる。ホモセクシャルでもフェミニストでもないけれど、「同性婚」には反対する理由がないし、「夫婦別姓」にも賛成である。あからさまに嫌悪感を表わして反対する人の気が知れない。戦後民主主義教育を受けて来たのに、どうしてこうも考え方が異なるのだろうか。まるで中世や封建主義時代の言説ではないか。この種の人たちは音楽や美術、文学や映画、演劇やファッションなどには全く関心がないのだろう(Bikini KillやBjorkやAnohniを1度も聴いたことがないのかもしれない)。その一方で、芸能人やタレントが営業用のキャラとして、ゲイやオカマを装うこともあるらしい。たとえば、マツコ・デラックスに隠し妻・子がいたとしても全然驚かない。

    ⃞ 無欲かな?‥‥SFが読みたい。老いた身、余暇増え、末永く読む
    「消えた年金問題」で、当時の総理大臣は「最後のお一人さままで明らかにしたい」などと国会答弁していたが、支給年金の上限が65歳から70歳に引き上げられようとしている。国民に死ぬまで一生働かせる魂胆なのか、平均寿命が男性よりも7歳長い女性は兎も角、年金を1銭も貰えずに死んでしまう老人も少なからずいるのではないかと危惧する。今年退職したF氏は再就職はせずに、残り少ない余生を自分の趣味に生きることにした。金銭的な余裕がないわけではないけれど、唯一の趣味が骨董品蒐集や海外旅行などではなく、読書で良かったと思う。本は公立図書館で読み放題だし、お金も一切かからない(住居スペースも本で埋まらない)。大好きなSFやミステリを時間を気にせずに好きなだけ読めるのが嬉しい。幸い老眼にもなっていないので、文庫本の小さな活字も裸眼で難なく読める。「文京区水道端図書館」にはハヤカワ文庫が創刊から全点揃っているというから愉しみだ。

    ⃞ 田代湖、十色、グアム‥‥「アクロイド殺し」だ
    新潟県の信濃川水系のカッサ川に建設された田代湖は美しい景観で知られている。1日で十色に変化するという湖面の煌びやかさは「虹色の湖」を凌ぐ。人造湖なのに人の立ち入りを禁止していることも神秘的な美しさの要因になっているのかもしれない。ところが先月、人気のないはずの田代湖で若い女性の水死体が発見された。事故死や入水自殺の可能性も考えられたが、検視の結果、溺死ではなく絞殺だったことが明らかになった。行方不明者リストを参照したところ、遺体の身許も判明した。女性の死後に失踪した婚約者の男性が重要参考人として浮上した。ところが被疑者は海外へ出国していた。彼は私の親しい友人である。殺人を犯す人間とは到底思えない。親友の身を案じた私は有給休暇を取って後を追った。グアムに滞在していることは彼からのメールで知っていた。本当に婚約者を絞殺したのかどうか問い糺したかったのだ。彼が宿泊しているホテルに行くと、フロント係が私宛のメッセージを預かっていた。「殺した犯人は田代湖」‥‥これは一体どういう意味なのだろうか。

    ⃞ 村上春樹、餅背負う、おせちも切る、食み絡む
    年末になると昔の日本人は臼と杵で餅搗きをしていたらしいが、昭和生まれのハルキには家族で餅を搗いたという記憶がない。もちろん昨今のようにスーパーやコンビニの棚に1年中パック餅の大袋が並んでいたわけではない。近所の米屋などから四角い大きな板餅を背負って来て、包丁で小さく切り分けるのが正月の習わしだった。搗きたての柔らかい餅は切り難く、逡巡していると直ぐに刃が立たなくなるほど固くなってしまう。食べ残った餅には青黴が生える(手袋をして餅を切るという衛生面の配慮が皆無だった)。年末には築地の魚市場へ妻と一緒に買い出しに行って、おせち料理を作ることにしている。鶏肉が嫌いなので、村上家の雑煮には鰤の切身と海老、三ツ葉、椎茸、蒲鉾、人参、大根、里芋が入っている。正月に大好きなおせち料理が食べられる幸せを噛み締めながら、新年を迎える‥‥いつものように雑煮を食べていた夫が突然苦しみ出した。歳のせいなのか、焼餅を喉に詰まらせたらしい。慌てた妻は混乱する‥‥ダイソンの掃除機か、それとも救急車を呼ぶべきかしら?

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    • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

    • 〈逃げた石原さとみ。シジミとさらば、椎茸煮〉に続く、石原さとみ回文2です

    • 「殺した犯人は田代湖」は森博嗣『実験的経験』からの引用、「毛が白いネコ‥‥」はポール・ギャリコ『さすらいのジェニー』のストーリ、苺回文は「ゆきもと農園」のイメージを借りました

     スニンクスなぞなぞ回文 #52

     南ア◎△◎△◇きしんこっけ☆結婚式◇△◎△◎アンナ

     回文作成:sknys

     ヒント:アンナ・ウィリアムズの結婚式


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    村上朝日堂

    村上朝日堂

    • 著者:村上 春樹 / 安西 水丸
    • 出版社:新潮社
    • 発売日: 1987/02/27
    • メディア:文庫(新潮文庫)
    • 目次:シティ・ウォーキン アルバイトについて / そば屋のビール / 三十年に一度 / 離婚について / 夏について / 千倉について / フェリー・ボート / 文章の書き方 /「先のこと」について / タクシー・ドライバー / 報酬について / 清潔な生活 / ヤクザについて / 再び神宮球場について /「引越しグラフィティー」/ 文京区千石と猫のピーター / 文京区千石の幽霊


    SFが読みたい! 2018年版

    SFが読みたい! 2018年版

    • 編者:SFマガジン編集部編
    • 出版社:早川書房
    • 発売日:2018/02/09
    • メディア:単行本
    • 内容:発表!ベストSF2017「国内篇・海外篇」サブジャンル別ベスト10&総括 /【エッセイ】2018年のわたし


    アクロイド殺し

    アクロイド殺し

    • 著者:アガサ・クリスティー(Agatha Christie)/ 羽田 詩津子(訳)
    • 出版社:早川書房
    • 発売日: 2003/12/01
    • メディア:文庫(ハヤカワ文庫)
    • 目次:シェパード医師の朝食 / キングス・アボット村の人々 / カボチャをつくる男 / ファンリー荘の晩餐 / 殺人 / チュニジアの短剣 / 隣家の男の職業 / ラグラン警部の確信 / 金魚池 / 小間使い / ポアロの訪問 / テーブルを囲んで / ガチョウの羽 / セシル・アクロイド夫人 / ジェフリー・レイモンド / 麻雀の夕べ / パーカー / チャールズ・ケント / フロラ・アクロ...

    コメント(2) 

    コメント 2

    ぶーけ

    回文にびっくり。
    うますぎて、気付かないところでした。^^;

    もし猫に変身したら・・?
    どんな猫になるかしら。
    私は平凡な日本人だから、普通の日本猫かしら?
    三毛とか、茶トラとか?茶トラは違うかな。
    sknysさんは?
    by ぶーけ (2018-09-21 08:37) 

    sknys

    半年振りの回文シリーズなので、「猫だましい」を込めました^^;
    ポール・ギャリコの「ジェニー」はネコに変身した少年の物語。
    ネコに変身するなら、黒猫ボンベイ(ネコ界の黒ヒョウ)かな?
    人間界では縁のなかったジェニーのような可愛い美女ネコと仲良くなりたい。
    ネコが何を考えて行動し、何を話しているのか知りたいにゃん。
    ぶーけさんは「遊び好きで賢く優しい、愛想がいいのんびり屋さん」の
    ジャパニーズ・ボブテイル・ロングヘアでしょうか?
    by sknys (2018-09-21 12:16) 

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