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ネコ・ログ #48 [c a t a l o g]

  
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  • マリアはジュリエットの眼を見ていると、夢の中でうなされる不思議な町を、ジュリエットは知っているのだな、と思う。彼女が平常、箪笥の上に一瞬に跳び上る時の、黒い魔のような跳梁のしかたで、彼女は不思議な国々を跳び歩いているのだ。或平原には、蛇と女が葉陰に絡みついていて、葉が異様に繁茂している大きな樹木がある。そうかと思うと、四角い柱の並んだ、俎のような形の人間のいない駅がある。十字架のような電信柱が屋根の上に立っていて、よく見ると駅は、暗い海に浮ぶ氷島のように、暗黒の中に浮んでいる。ようよう駅があった。ここから帰れるかも知れない。そうマリアは思うのだが、見ると駅のわきの、これも四角い、幅の広い厚い板を並べた囲いの裏で、この世界は切れて、無くなっている。周囲は暗澹としていて、駅の後には薄い、透徹った雲の断片が浮んでいるのだ。
    森 茉莉 「魔利の恋人ジュリエット」


  • #424│レイ│飼い猫? ── 雨が降って来た
    「ねこ歩き」は日本各地や海外を巡らなくても良い。岩合さんのように遠出しなくても、近場にネコとの思わぬ出会いがあるからだ。近所を散歩していてマズルと胸元だけが白い黒ネコを初めて見た。民家のポーチに座っていたのだが、屈んでカメラを構えると隣家との間の露地へ移動した。居住者以外は立ち入れないスペースに避難して安心したのか、振り返ってカメラマンを興味深そうに見つめる。小雨が降って来たので、雨宿りしたのかもしれない。黒っぽい毛並みが濡れそぼって、焦げ茶色に変色している。この近くで三毛ネコの姿を見かけたこともある。初めて出会うネコとの交感はスリリングで愉しい。イヤフォンやヘッドフォンで音楽を聴きながら歩いている人にはネコの鳴き声は聞こえないし、歩きスマホしている人にもネコの姿は見えないでしょう。

    #425│ミカ│飼い猫 ── 大きな耳です
    二等辺三角形のような大きな耳と尖った顎がスクイーズ(Squeeze)のネコード《Cool For Cats》(A&M 1997)を想わせる。エレキ・ギターのフライングVに似ているかもしれない。お耳の感度(聴覚)が良さそうなネコちゃんにはネコードを聴かせたい。閑話休題。昨年9月、S道橋図書館へ本を借りに行く途中で「空飛ぶ白ネコ」に遭遇した。マンション1階の駐車場から白いバルーンが風に運ばれて来たのだ。フワフワと浮游して車道へ流れ出たところをキャッチしたら、キティちゃんの風船(ダイワハウス)だった(風船は凧のように紐と持ち手で結ばれている)。通りかかるのが数秒遅れていたらキティちゃんと出遭うことはなかったかもしれない。周辺に子供の姿は見当たらないので、一緒に連れて帰ることにした。図書館内で幼児に気づかれて、ちょっと恥ずかしかったけれど。その後、キティちゃんは寝室のベッドの上で、1週間以上も空中浮游していたのだ。

    #426│セン│飼い猫 ── S石図書館前の三毛さん
    S石図書館の前庭に三毛ネコがいた。女の子と戯れている。近寄ると人懐っこくミャ〜と鳴く。赤い首輪をしているので一目で飼いネコだと分かるけれど、デューイのような「図書館ねこ」(Dewey the Cat)ではあるまい。ホースで花壇に水を撒いていた作業員が近所で飼われている婆さんネコ(20歳)だと教えてくれた。ネコはヒトとは違って、外見から年齢を推し量るのが難しい。顔に皺も寄らないし、髪の毛も薄くならないし、杖も突かない(動きは多少緩慢になるのかもしれないけれど)。S石図書館まで毎日パトロールに来ているようで、近隣の利用者には顔馴染みのネコらしい。センちゃんの写真を撮っていると、飼主の男性が迎えに来た。まだパトロール中なのか、遊び足らないのか、なかなか帰ろうとしない。飼主に促されて漸く家路に着いた。彼女が「図書館ねこ」になる日が来るかしら?

    #427│トラ│捨て猫 ── いらないネコ
    中央図書館へ行く途中、右上の方からネコの鳴き声が聞こえた。遊歩道から階段を昇ると、マンション横のデッキに2匹のネコがいた。まだ大人になっていない茶トラと白ソックスの黒い仔ネコ‥‥何かを訴えるように必死に鳴いている。このまま見捨てるには忍びないので、仔ネコを抱き、茶トラを促して、下の遊歩道へ降りる。すると繁み陰に三毛ネコが隠れていた。3匹のネコたちは何かを捜すように歩き出し、頭上では黒いカラスが不吉な低空飛行を繰り返している。カラスに狙われている仔ネコだけでも保護しなければと思案しているところに、ちょうどネコおばさんが歩いて来た。ゴハンを与えても、ネコたちは一切食べようとしない。毎日来ているネコおばさんも今日初めて見た。捨てネコではないか。母ネコか飼主を探して鳴いているのではないか心配する。彼女に限らず、ヴォランティアの女性たちはネコたちを捨てた飼主への怒りを露わにする‥‥(以下次項に続く)。

    #428│ミケ│捨て猫 ── いらない三毛ネコ
    ‥‥夏休み中の祝日だったので、図書館前の広場には子供たちや犬を連れた女性たちが多くいた。人懐っこい茶トラは子供たちと戯れて遊ぶ。物怖じせずに犬に近寄って行ったり、木に登ったりと落ち着きがない。犬と散歩に来ていた女性は「犬を怖がらないのは一緒に暮らしていたからではないか。家にはネコもいるので、もし貰い手がないのなら連れて行っても良い」と話す。黒い仔ネコは運良く別の女性に抱かれて行ったが、途中で暴れて手放ざるを得なかった。公園で遊んでいた小学生たちが興味を示し、母親の承諾を得た子供の家で飼われることになったという。図書館の周辺にいた茶トラは数日後に姿を消した。三毛ネコはヴォランティアのネコおばさんに保護された。まだ子ネコだと思っていたけれど、病院で診てもらったらエイズ・キャリアの母ネコだった。いなくなった茶トラも誰かに飼われていると思いたい。

    #429│ハル│飼い猫? ── 尻尾も縞々にゃん
    ネコ歩きしていると、稀にネコ以外の不思議なものに出遭ってしまうことがある。初めて来た場所、初めて通る道。ある民家の前にいた茶トラを撮り終えて歩き出した時、視界の隅に見慣れないものが入った。「黄色い人」がいる?‥‥ゴミ置き場の手摺りに纏めてあるカラス避けの黄色いネットが跪いている人に見えたのだ。白いゴミ袋をウサギと見間違えた高野文子の「るきさん」(筑摩書房 1993)のように。このまま見過ごすには惜しいシチュエーションである。「ナニコレ珍百景」に投稿したいくらいだ。立ち止まって「黄色い人」の写真を撮っていたら、絶妙のタイミングで茶トラが来た。右耳(耳先カットしすぎ!)が痛々しいハルちゃんは長い尻尾の縞々模様がチャーミング。数匹いた同じ柄の茶トラの中では一番人馴れしている。「路上観察学会」のメンバーではないけれど、ゴミ置き場の「黄色い人と茶トラ」の偶発的な出会いはシュールで愉しい。

    #430│ソン│飼い猫 ── 男前のソン君
    S鴨方面への行き帰りに時々見かけていたけれど、写真を撮ったのは1年振りだろうか。男前のソン君はマイペース‥‥自ら近づいて来たりはしないし、逆に近寄っても逃げ去ったりはしない。基本的にヒトを無視するのが彼の流儀。「クール・ビューティな男前」と呼びたくなる。この日も毛繕いに余念がなく、一心不乱に毛並みを舐めていた。シャッター・チャンスは殆どない。時折目を向けて前方を見つめる瞬間を狙って辛抱強く待つ。幸い暗くなるまでには、まだ時間的な余裕があった。背景が柔らかくボケて、顔が綺麗に浮かび上がる。今までで一番良く撮れたソン君の写真になった。飼主の喜ぶ顔が目に浮かぶ。先日、クリーニング店の前で中年女性に呼び止められた。一瞬誰だか分からなかったが、ソン君の女飼主だった。喫茶店でコーヒーでも飲みませんかと誘われたけれど‥‥。

    #431│エム│ノラ猫 ── 子ネコの視線
    I袋駅前公園の植込みに子ネコがいた。繁みの陰に隠れているので、この場所から写真を撮るのは難しい。公衆トイレの傍から裏手に回って近づくと、鉄柵フェンスの向こうの駐輪場へ逃げられてしまう。しかもネコは瞬く間に成長して、子ネコの面影も儚く消えてしまう。大きな青い目が綺麗だった白ネコのラブちゃんも急速に大人びてしまった。子ネコ時代はヒトの少女時代に比較すれば一瞬で過ぎ去る。地球の長い歴史の中で人類の繁栄が一瞬の夢でしかないように。腰の高さほどの段差のある植込みの奥から横に細長い公園を見つめている子ネコの視線は好奇心で溢れている。仲間の子ネコと追っ駆け合ったり、戯れ合ったり、後ろ足立ちして木肌で爪を研いだり、木の上に登ったり‥‥子ネコたちの生態や行動は見飽きない。足を止めて植込みの奥を見やる通行人の姿も少なくない。

    #432│ケン│ノラ猫 ── 子猫の眼差し
    I袋駅前公園でエムの仲間のケンちゃんを撮った。幼友達ではなく、兄弟姉妹の可能性も否定出来ない。黒目の大きさからも分かるように、既に陽も翳って公園の植込みも暗い。コンデジ(Cyber-shot)でネコを撮っていた時、このようなシチュエーションではフラッシュが必須だったが、ミラーレス一眼(NEX-5N)に替えてからは1度もフラッシュを使ったことがない(というか装備していない)。「暗闇の帝王」と称されるほどイメージセンサーの感度が良いこともあるけれど、フラッシュの光がネコの目に良くないことを知ったことも大きいかもしれない。AFで照準を定め、ネコの目に手動でフォーカスして、出来るだけ手ブレしないようにカメラを固定すれば、フラッシュ無しでも黒目の大きな可愛いネコ写真(ISO 3200、f/4.5、1/8)が撮れる。もちろん被写体の協力(ネコちゃんが静止して動かないこと)が必要ですが‥‥。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第48集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ400匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第47集に引き続き、第48集もソン君以外は新参ネコで占められている。保護された3匹のネコは特に印象深い。飼いネコやノラは彼らの暮らしている場所へ行けば再び会える可能性が高いけれど、保護されたネコたちには2度と会えないかもしれないから。森茉莉の『黒猫ジュリエットの話』(河出書房新社 2017)は表題作(「吾輩は猫である」のパスティーシュ)に、ネコに纏わるエッセイ21篇を加えた文庫オリジナル。巻末に室生犀星の評伝「黄金の針」、室生朝子のエッセイ「森茉莉さんのこと」を再録。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にリサイズしています
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    黒猫ジュリエットの話

    黒猫ジュリエットの話

    • 著者:森 茉莉 / 早川 茉莉(編)
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日:2017/10/05
    • メディア:文庫
    • 目次:黒猫ジュリエットの話 / 魔利の恋人ジュリエット / 牟礼魔利の一日 / マリアの気紛れ書き / 或黒猫の話 / 悪魔と黒猫 / 新人評 / 東照宮の眠り猫 / サラ猫とサラ金男 / 猫の絵草紙 /「サファリで猛獣と遊ぼう」/ ライオンを飼う女 / Japoの話 / 畑正憲の家 / 菊千代 / 犀星と猫 / 一匹の黒猫 / 残酷物語 / 白石かずこの批評、小さん、頼近美津子のVS / ...


    るきさん

    るきさん

    • 著者:高野 文子
    • 出版社:筑摩書房
    • 発売日:2015/06/25
    • メディア:単行本
    • 目次:


    図書館ねこデューイ 町を幸せにしたトラねこの物語

    図書館ねこデューイ 町を幸せにしたトラねこの物語

    • 著者:ヴィッキー・マイロン(Vicki Myron)/ 羽田 詩津子(訳)
    • 出版社:早川書房
    • 発売日:2010/05/30
    • メディア:文庫(ハヤカワ文庫NF)
    • 目次:プロローグ アイオワにようこそ / とてつもなく寒い朝 / 完璧な新入り / デューイ・リードモア・ブックス / 図書館での一日 / キャットニップと輪ゴム / グランド・アヴェニュー / デューイの親友たち / デューイとジョディ / 家から遠く離れて / かくれんぼ / クリスマス / りっぱな図書館 / デューイの大脱走 / スペンサーでいちばん人気の猫 / アイオ...


    Cool For Cats

    Cool For Cats

    • Artist: Squeeze
    • Label: Polygram UK
    • Date: 2006/06/22
    • Media: Audio CD
    • Songs: Slap & Tickle / Revue / Touching Me Touching You / It's Not Cricket / It's So Dirty / The Knack / Hop Skip And Jump / Up The Junction / Hard To Find / Slightly Drunk / Goodbye Girl / Cool For Cats / I Must Go / Ain't It Sad

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