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ネコ・ログ #49 [c a t a l o g]

  
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  • まるで爪先立つように、バットが四本の肢の先っぽだけでカーペットを優雅に踏みながら、スティーナのもとにもどってきた。スティーナを見あげてから彼女のそばを通りすぎ、大胆にも悪臭の源のほうに行き、つなぎの焼け残った断片に向かって、二度、低く唸った。さっきまで敵だったものに敬意を払い終えると、バットは行儀よくその場にすわりこみ、ていねいに毛を舐めて見づくろいを始めた。スティーナはほっと息をつくと、ナビゲーションシートにすとんと腰をおろした。「いったいなにがあったのか、もう教えてくれてもいいよな?」 クリフはスティーナに近づくと、彼女の手からブラスターを取った。「灰色」 スティーナはものうげな口調でいった。「あれは灰色だった──でなきゃ、灰色に見えただけかも。あたしは色盲なの。どんなものでも、あたしの目には灰色の濃淡にしか見えない。あたしの世界は灰色なのよ。バットと同じ──猫の世界も灰色だから。でも、猫にはその埋め合わせをする機能がある。人間に見える光波のスペクトルの範囲を超えた波長が見えるの。どうやらあたしもそうみたい」
    アンドレ・ノートン 「猫の世界は灰色」


  • #433│タバ│飼い猫 ── パン屋さんのネコ?
    M治通りを渡って、T端駅の方へ歩いて行く。T北本線の陸橋を潜る手前で、屈んでいる女性が視線に入った。パン屋さんの前でネコを撫でていたのだ。赤い首輪と鈴を着けているので飼いネコだと分かる。お店の看板ネコだろうか?‥‥人馴れしているけれど、人懐っこいという程ではない。我関せずという感じで横の露地の奥に姿を消す。駅前などの飲食街では民家よりも家屋が建て込んでいるので、ネコは通れてもヒトは踏み込めない間口の狭い隘路が多い。密集地域のキャットウォークに入り込まれたら諦めるしかない。暫く待っていると戻って来て車道を横切り、向かい側の空き地へ向かう。通い慣れたパトロールの巡回路なのだろうか。ネコが落ち着いたところで写真を撮った。大柄な白茶ネコで気品がある。毛並みも綺麗なので、屋内で飼われているネコなのかもしれない。

    #434│ロン│ノラ猫 ── 落葉のメロディ
    木々の葉が赤く色づく紅葉の季節は風景の中のネコたちも映える。紅葉狩りと称して風光明媚な行楽地に出かける観光客は写真を撮ったりするが、長距離移動しないネコは現地調達である。赤い紅葉の中の黒ネコ、リンゴ農園のネコ、青い空と白い家並みの中のネコ、名所旧跡のネコ‥‥京都や青森、ギリシャやイタリアなどで撮られた岩合さんのネコたち。同じネコなのに風景が変わると新鮮に映る。都会のネコたちは風景に恵まれない。立ち並ぶ民家や建て込んだ店舗、商店の看板や自動車、通行人など雑多なものが背景に映り込んでしまうから。雑然とした都会では風景に溶け込むのではなく、背景を暈して撮らざるを得ない。淡いピンクの桜が咲き乱れる春や赤い絨毯を敷き詰めたような落葉で覆われる秋はネコが映える数少ない時季である。ロンちゃんも赤、緑、黄色などカラフルな落葉を背景にして、いつもよりも少し華やいでいるように見える。

    #435│ソラン│飼い猫 ── すてきな写真をありがとう
    黒猫のソランちゃんを撮っていたら、1年振りにネコ姉さんと出会った。飼主ではないけれど、ソランの世話をしてるネコ好きの女性である。「ちょっと待っててね」と声をかけられた。ネコに呼びかけたのかと思っていたら、ソランの写真の御礼に「越前和紙のふせん」を貰った。「ねこの毛糸あそび」「にゃーさんぽ」の2種(各20枚入り)で、毛糸玉と戯れるネコたちと足跡と尻尾のイラストが描かれている。本ブログではネコ写真やネコードだけでなく、ネコ本も紹介しているので、こういう心遣いは嬉しい。「ネコ歩き」しているとネコとの交感だけでなく、ネコ好きの人たちとの交流も少なからずあるのだ。近所のネコたちを撮る機会は多いけれど、再び訪れることのない(2度と出会えないかもしれない?)一期一会のネコたちも少なくない。

    #436│ピノ│飼い猫 ── 戌年(2018)もよろしくにゃん
    三毛スコのミスちゃんは外から呼びかけると玄関のキャットスルーから出て来るほど懐いているけれど、チビ三毛のピノちゃんは人見知りする性格なのか、なかなか近寄って来ない。ミスと仲睦まじく接しているのを遠巻きから興味深そうに見つめている。こちらから近づこうとすると逃げ去ってしまう。それでも何度か顔を合わせるうちに認知してくれたのか、急にカメラの前まで来ることがある。飼主家と隣家の狭い隙間から顔を覗かせているところを至近距離から撮った。斜向いの民家で飼われているバルちゃんも、ピノちゃん以上に撮り難いネコ。今まで出合った飼いネコの中でも1、2を争うほど難易度が高い。動きが俊敏で警戒心も強く、シャッター・チャンスは殆どない。あれほど逃げ回っていたのに、最近は自ら近寄って来て傍らで腹這いになるのだ。1度挨拶に来てあげたというつもりなのか、ビノもバルも直ぐに離れて行ってしまうところが惜しい。

    #437│クリ│飼い猫 ── 猫の世界は灰色(ザ・キニャー)
    クリちゃんは灰色ネコ。青い目とグレーの色合いは上品なシャム猫を想わせる。「All cats are gray in the dark」という英語の諺は「暗闇の猫は灰色に見える」ので、「名を成すまでは見分けがつかない」「見た目の違いは余り重要でない」という意味らしい。「夜目遠目傘の内」「美貌も一皮むけば同じ」という真逆な意味に転じるところが面白い。後者にはボイオティアの大山猫みたいな皮肉が込められている。The Cureの〈All Cats Are Grey〉は英国作家マーヴィン・ピーク(Mervyn Peake)のゴシック・ファンタジー「ゴーメンガースト」にインスパイアされたというキャット・ソング。アンドレ・ノートンの「猫の世界は灰色」は懸賞船〈火星の女帝〉に乗り込んだ宇宙作業員(スペーサー)のクリフ・モーランとコンピュータ技師のスティーナ、灰色猫のバットがエイリアンを撃退するSF短篇。ネコの眼には世界が灰色っぽく見えるという特性が生かされている。

    #438│レイ│飼い猫 ── 今日もパトロール
    代理で町内自治会の夜回りに参加したことがある。「歳末特別警戒」という文言は物々しいが、拍子木を打ち鳴らしながら歩く先頭の後に尾いて「火の用心」と唱和するだけのことである。それでも冬の夜は冷えるし、足元も暗くて覚束ない。小一時間歩き回って、帰宅したら午後10時を回っていた。火の不始末に注意を促したり、放火魔への抑止効果がある行軍とは思えない。交通安全運動の旗振りや防災訓練などと同じような年中行事に近いような気がする。レイちゃんは今日も律儀にテリトリ内のパトロールを怠らない。時々歩みを止め、異状がないかどうか目を光らせて周囲を見渡す。期間限定の行事ではなく、毎日欠かさず実行している日課なのだ。上から命じられて行なっている義務ではなく、自発的な行動である。ヒトよりもネコの方が地域の安全を守っているのではないかとさえ思えて来る。

    #439│トバ│ノラ猫 ── 木登りが好きなの
    I袋駅前公園に棲む白黒のトバと三毛のアンちゃんは大の仲良し。2匹が一緒になると、必ずといっても良いくらい組んず解れつの取っ組み合いが始まる。積極的にネコパンチを繰り出すトバ、守勢に回りながらも反撃するアン‥‥雌雄を決する真剣勝負ではないので、見物している人たちの頬も緩み、心も和む。レスリングの試合のように動きが素早くて、なかなか写真に撮れない。スポーツ専門のプロ・カメラマンのようなスキルとテクニックが要求されるのかもしれない。ネコ同士の戯れ合いは唐突に終わる。突然興味を失って遊ぶことを止めた子供のように。何事もなかったように身繕いをしたり、香箱座りして微睡んだり、通行人を注意深く観察したり‥‥。追い駆けられて木の上に避難するネコもいる。戯れ合いの写真は諦めて、木に登って静止しているトバちゃんを撮った。

    #440│アン│ノラ猫 ── 公園の植込みで
    「犬は喜び庭かけ回り、猫は炬燵で丸くなる」は童謡「雪やこんこ」の歌詞の一節だが、犬は兎も角、ネコは肉球が冷たくなるので、雪が嫌いらしい。池袋駅前公園の植え込みの縁や円筒形の横長ベンチに座っていると三毛ネコのアンちゃんが近寄って来て、徐に膝の上に乗る。気温が低く体が冷える冬季は雪が降っていなくても、ネコは暖を求めて来るらしい。毛皮に包まれた湯たんぽを膝に抱いているようで、ネコもヒトも暖かい。でも1度乗っかると自分の意志で降りない限り、膝から引き離すのは難しい。無理に降ろそうとすると膝に爪を立て、歯で手に噛みつき、ニャンと鳴いて嫌がる。公園のベンチでアンを抱いていると、横に来たトバちゃんも膝に乗りたそうな仕草を見せる。しかし同時に2匹は乗っかれない。トバちゃんを撫でていた女性が植え込みの縁に座ると、即座に飛び乗った。この冬、公園では2匹のネコが同時に2人の膝の上に乗るという椿事が起きたのだ。

    #441│ケマ│飼い猫 ── 階段の上のチャトラ
    ネコ科の動物は高いところが好き。イエネコ、ヤマネコ、チーター、ヒョウ、ジャガー、ライオン、トラなどを撮った写真集『ねこ科』(クレヴィス 2017)にも木に登っているネコ科の動物が多数収録されていた。外を歩いていて左右に視線や気配を感じることがある。足を止めて振り返ると、塀の上のネコと目が合ったりする。サンルーフの上で日向ぼっこをしているネコ(ネコの影が見える)。呼んでも2階のヴェランダの上から降りて来ない三毛。呼ぶとアパートの外階段から駆け降りて来る黒ネコ。門柱の上から下界を眺めている灰色ネコ。登ったのは良いけれど、桜の樹から降りられなくなって鳴いていたネコ。肩から頭の上に跳び乗って降りて来ないネコ、車のボンネットやバイクのシートの上で寛ぐネコ、階段の上で振り向くチャトラ‥‥ネコが目先の地面にいるとは限らない。目線を少し上げて「ネコ歩き」していると、思わぬところにネコちゃんの姿を発見するかもしれません。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第49集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ400匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。ロン、ソラン、レイ、アン‥‥今回は常連ネコが多く集まった。今季(2017-18)の冬は厳寒で、都内でも大雪に見舞われた。外ネコたちの身が案じられたけれど、いつもと変わりないノラたちの姿に安堵しています。2月末に風邪を引き、花粉症とのダブル・パンチでダウンした。もっと早く風邪に罹っておくべきだった?‥‥桜の開花した3月下旬に雪が降るという寒暖差のある天候に体調を崩す人も少なくない。ネコにも花粉症があるのかしら?

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にリサイズしています
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    猫は宇宙で丸くなる 猫SF傑作選

    猫は宇宙で丸くなる 猫SF傑作選

    • 著者:シオドア・スタージョン(Theodore Sturgeon)/ フリッツ・ライバー(Fritz Leiber)他 / 中村 融(編)
    • 出版社:竹書房
    • 発売日:2017/08/31
    • メディア:文庫
    • 目次:パフ / ピネロピへの贈りもの / ベンジャミンの治癒 / 化身 / ヘリックス・ザ・キャット / 宇宙に猫パンチ / 共謀者たち / チックタックとわたし / 猫の世界は灰色 / 影の船 / 編者あとがき・中村 融


    越前和紙のふせん ねこの毛糸あそび

    越前和紙のふせん ねこの毛糸あそび

    • メーカー:呉竹
    • 製品型番:LH25-9
    • 素材:越前和紙
    • 商品内容:付箋(20枚入)
    • メディア:文房具・オフィス用品


    越前和紙のふせん にゃーさんぽ

    越前和紙のふせん にゃーさんぽ

    • メーカー:呉竹
    • 製品型番:LH25-7
    • 素材:越前和紙
    • 商品内容:付箋(20枚入)
    • メディア:文房具・オフィス用品


    Faith

    Faith

    • Artist: The Cure
    • Label: Fiction
    • Date: 2005/09/20
    • Media: Audio CD
    • Songs: The Holy Hour / Primary / Other Voices / All Cats Are Grey / The Funeral Party / Doubt / The Drowning Man / Faith


    ねこ科

    ねこ科

    • 著者:岩合 光昭
    • 出版社:クレヴィス
    • 発売日: 2017/05/15
    • メディア: 単行本(ソフトカバー)
    • 目次:イエネコ / ヤマネコ / チーター / ヒョウ / ジャガー / カラカル / サーバル / ライオン / ホワイトライオン / インドライオン / フロリダパンサー / ベンガルトラ / その他のネコ科動物 / あとがき

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