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ありえるピンク [m u s i c]



  • 「三つ子だって? お前はロックスターの妻っていうよりノラ猫と呼んだほうがお似合いだな」と、ブレイクはちょっと機嫌の悪いときにそんな感想を洩らしたことがあった。/ というわけで三つ子と妻を抱えたいま、空間などどこにも残っていない、要するに彼はたくさんの空間を必要とする人間になっていたのである。彼は自分のことを空間を必要とする人間などとは思っていなかったのだが、彼の身長が伸びればそのぶんより多くの空間が必要となるのだった。/ ブレイクの外見は小柄な少年のそれを思い起こさせた。髪はブロンドでボウルを被ったような髪型をしていた。思春期後のニキビが少しあったが、まあそれは、彼のような仕事には必要なものといっていいだろう。そしてアメリカの全中産階級の背筋をゾクゾクさせたその声。彼の体重はわずか百ポンドほどだったが、ステージ上ではとてもそうには見えなかった。ステージ上の彼はまるでポール・バニヤン(Paul Bunyan)だった。
    ガス・ヴァン・サント 「ピンク」


  • ◎ Pom Pom(4AD 2014)Ariel Pink
  • Ariel Pink(Ariel Marcus Rosenberg)は米カリフォルニア・ロサンゼルス生まれの男性SSW。10歳の頃から500曲以上を数百本のカセット・テープに録音していたという。Ariel Pink's Haunted GraffitiではAnimal Collectiveのレーベル(Paw Tracks)などから数枚をリリースしているが、ソロ名義では初のフル・アルバムである。2015年に亡くなった米プロデューサー、Kim Fowleyとの共作5曲を含む全17曲・67分。フレンチ女性SSWのSokoやAzealia Banks、Jason Pierce(Spiritualized)などがゲスト参加している。60年代ロック、70年代ポップス、80年代エレクトロ・ポップ、カートゥーン・ミュージック、レゲエ、ハード・ロック‥‥雑多な音楽が混淆したヒプナゴジック・ポップ(Hypnagogic Pop)。「Dolly PartonとKurt Cobainへのシュールな感謝の表明(shoutouts)と同じくらい、万華鏡のような忘れ難いメロディで満ち溢れたレコード‥‥《Pom Pom》はピンク自身のような乱調の美である」というレヴュー(Spin November 18, 2014)もある。

  • ◎ Nothing Feels Natural(Sister Polygon 2017)Priests
  • Priestsは米ワシントンD.C.で結成された4人組(男2、女2)のポスト・パンク・バンド。デビュー・アルバムはKatie Alice Greer(ヴォーカル)、Daniele Daniele(ドラムス)、Taylor Mulitz(ベース)、GL Jaguar(ギター)の4人に、Kevin Erickson(シンセ、ギター、パーカッション)、Janel Leppin(チェロ、メロトロン、ペダル・スティール)などが参加することで、パンクの足枷に捉われないサウンドを生み出している。暴走パンクから一転スロー・ダウンして、アルト・サックスが乱入する〈Appropriate〉、「何もしないでいると、ついには本当のことを幻覚するようになるかしら」とAliceが歌う〈Nothing Feels Natural〉、Danieleのプログラミングしたドラムマシン(TR-707)とコーラスによる〈No Big Bang〉、「乳がん月間」(Breast Cancer Awareness Month)でピンク色にライトアップされた米大統領官邸を連想させる〈Pink White House〉‥‥アルバム・カヴァをピンク色(カラー写真)に加工しているのは、この曲と関係があるのかもしれない。

  • ◎ II(Flying Nun 2017)The Courtneys
  • The Courtneysはカナダ・ヴァンクーヴァー出身の女性トリオ。同じ3人組の女性パンク・バンド、The Coathangersのようにメンバー全員が同じ姓(コートハンガー)を名乗っているわけではないけれど、Courtney Loove(Courtney Loveよりも「o」が1つ多い、舟本一夫や鳥倉千代子みたいな疑似ネーミング?)という名前のメンバーがいる。彼女のギターとSydney Koke(ベース)、Jen Twynn Payne(リード・ヴォーカル、ドラムス)という編成。2ndアルバムは髪の毛らしき淡いピンク色のカヴァの左上にバンド名、右下にタイトル「II」を白抜きで表示。〈Silver Velvet〉〈Minnesota〉など、甘ったるいキュート・ヴォイスとパワフルなギター・サウンドのインディ・ポップやロックで駆け抜けるだけでなく、〈Lost Boy〉のような長尺ジャム・ナンバーも収録されている。カナダのバンドなのにニュージーランドのインディ・レーベルからのリリースというところもユニーク。

  • ◎ I Want To Grow Up(Hardly Art 2015)Colleen Green
  • コリーン・グリーン(Colleen Green)は米ロス・カリフォルニア出身の女性SSW。ドラムマシンと爆音ギターというソロ・スタイルだったが、3rdアルバムはColleen Green(ヴォーカル、ギター)、Jake Orrall(ベース、シンセ、ハーモニウム、シュレディング)、Casey Weissbuch(パーカッション)という3ピース・バンド編成でレコーディングしている。ちなみにマスターはシミー・ディスク(Shimmy Disc)を主宰していたKramerが行なった。可愛いヴォイスとノイジーなギターのミスマッチ。クールなエレクトロ・ビートの〈Deeper Than Love〉やグランジ風ヘヴィ・ロックの〈Things That Are Bad for Me (Part II)〉も耳に残る。グリーン(緑)という名前なのにピンクのノースリーヴを着て、トレードマークの黒いサングラスにパーティ・ハットを冠ったアルバム・カヴァは滅茶苦茶お茶目です。

  • ◎ Carol Naine(Independente 2013)Carol Naine
  • 伏し目がちのショート・ヘアの女性がピンク色の薄布に透けている?‥‥ブラジル・リオ出身の女性SSW、カロル・ナイーニ(Carol Naine)のデビュー・アルバムは可憐な高音ヴォイスで魅了する。Susanna Hoffs(The Bangles)似の可愛いらしい顔立ち。万人に膾炙するアイドル路線でもブレイクしそうなのに、Ivo Senraのウーリッツァーとシンセに、ドラムス、ベース、ギター、ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、アルト・サックス、クラリネット、クラローネ(clarone)、フルートなどを配したサウンドはエクスペリメンタルでユニーク。アブストラクトな音楽の森を浮游する小鳥の囀りがピンク色に染める。全10曲・35分。裏カヴァと歌詞カードに表記されている〈Aquela〉と〈Maria Bateria〉の曲順(6曲目と8曲目)が入れ替わっている。この伴奏で良く歌えるなぁと感心しちゃいました。

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    「ピンク・アルバム・カヴァーズ」という記事を思いついたのは相次いでリリースされた2枚のアルバム(PriestsとThe Courtneys)に、Ariel Pinkが稲妻のように閃いた時だった。更に映画「Pretty In Pink」のサウンド・トラック盤やHoleのデビュー・アルバム《Pretty On The Inside》(Caroline 1991)なども思い浮かんだ。「プリティ」と「ピンク」以外に何の脈絡もなさそうな連想ゲームだったが、奇しくもCourtney という姓、Love(Hole)とLoove(The Courtneys)で繋がっていたのだ。一見関係なさそうなものが裏で密接に繋がっていたという事実はインスピレーションの源泉を掘り当てたようで愉しい。Holeのアルバムも鮮烈なショッキング・ピンクを基調色にしていた。Kurt Cobain(Nirvana)もピンク色に染まっている。Ariel Pinkの〈Dayzed Inn Daydreams〉の歌詞の中に出て来るし、ガス・ヴァン・サントの処女小説『ピンク』(アップリンク 1998)にもKurt Cobainをモデルにしたロックスター(ブレイク)が登場しているのだから。

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    • 2010年代の「Pink Album Covers」を集めてみました^^

    • Courtney Loove(née Courtney Garvin)は2Dアニメーターでもあるらしい

    • 写真のネコちゃんもピンク色に染めちゃいました。iPhotoで色合い(Tint)を調整
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    pom pom

    pom pom

    • Artist: Ariel Pink
    • Label: 4AD
    • Date: 2014/11/18
    • Media: Audio CD
    • Songs: Plastic Raincoats In The Pig Parade / White Freckles / Four Shadows / Lipstick / Not Enough Violence / Put Your Number In My Phone / One Summer Night / Nude Beach A Go-Go / Goth Bomb / Dinosaur Carebears / Negativ Ed / Sexual Athletics / Jell - o / Black ...


    Nothing Feels Natural

    Nothing Feels Natural

    • Artist: The Priests
    • Label: Sister Polygon
    • Date: 2017/01/27
    • Media: Audio CD
    • Songs: Appropriate / JJ / Nicki / Lelia 20 / No Big Bang / Interlude / Nothing Feels Natural / Pink White House / Puff / Suck


    II

    II

    • Artist: The Courtneys
    • Label: Flying Nun
    • Date: 2017/02/17
    • Media: Audio CD
    • Songs: Silver Velvet / Country Song / Minnesota / Tour / Lost Boys / Virgo / 25 / Iron Deficiency / Mars Attacks / Frankie


    Carol Naine

    Carol Naine

    • Artist: Carol Naine
    • Label: Imports
    • Date: 2014/06/03
    • Media: Audio CD
    • Songs: Para Não Esquecer / Bailarina / Casa 82 / Coisa Arbitrária / Para Ela / Maria Bateria / Pele, Pelo E Músculo / Aquela / Virundum / Nosso Lar


    I Want To Grow Up

    I Want To Grow Up

    • Artist: Colleen Green
    • Label: Hardly Art
    • Date: 2015/02/24
    • Media: Audio CD
    • Songs: I Want To Grow Up / Wild One / TV / Pay Attention / Deeper Than Love / Things That Are Bad for Me (Pt. I) / Things That Are Bad for Me (Pt. II) / Some People / Grind My Teeth / Whatever I Want


    ピンク

    ピンク

    • 著者:ガス・ヴァン・サント(Gus Van Sant)/ 浅尾 敦則(訳)
    • 出版社:アップリンク
    • 発売日:1998/09/21
    • メディア:単行本
    • 目次:ピンク / 訳者あとがき / フィルモグラフィー

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