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ジョアナ・ケイロスの怪 [m u s i c]



  • 『Boa Noite Pra Falar Com O Mar』はその続編に当たるだろう。セステート(Sexteto)とは謳われているものの、曲ごとに編成は変わる。ドラマーはロウレイロからフェリーペ・コンティネンティーノにチェンジ。半数の曲ではヴォーカル・メロディーが聴けるので、ハードなインストゥルメンタル作品という印象はないのだが、音楽的には複雑怪奇な色を増し、何度聴いても違う場所に誘い込まれる美しき迷宮のよう。ジョアナのクラリネットの柔らかさとベルナンド・ハモスの硬質なギターの対称も効果的だ。自作曲以外にはエルメート・パスコアール、サンパウロのフルート奏者、レア・フレイリのカヴァーも。カルロス・アギーレに捧げられた曲には、ジョアナがアギーレから受けた影響が素直に覗く。南米音楽とジャズおよびクラシックの接点で彼女が獲得している視野の広さ、次々に開け放っていく新しい扉の鮮烈さ。年の始めにして、2017年のベストの一枚を確定させる大傑作だ。
    高橋 健太郎 「月刊ラティーナ 2017年3月号」


  • ◎ Uma Maneira De Dizer(Joanaqvc 2012)Joana Queiroz Quarteto
  • ジョアナ・ケイロス(Joana Queiroz)はブラジル・リオ生まれの女性クラリネット奏者。Itibere Zwarg率いる大所帯バンド、Itibere Orquestra Fameiliaのメンバーとして10年以上のキャリアがあり、Hermeto Pascoalの《Mundo Verde Esperanca》(2004)にも参加していた。Joana Queiroz、Bernardo Ramos(ギター)、Bruno Aguilar(ベース)、Antonio Loureiro(ドラムス)の4人に、Vitor Goncalves(ピアノ)、Beth Dau(ヴォーカル)がゲスト参加している。ヴォーカル(スキャット)とインストが美しく調和・融合する〈Apesar do Frio〉、Joana Queirozが自ら歌う〈Mais Perto〉とGuto Wirttiのカヴァ〈Partida〉、Mono Fontanaに捧げた〈Sutil〉、Antonio Loureiroのカヴァ〈Reza〉など‥‥いわゆるジャズ・カルテット・サウンドだが、聴きどころは多い。三面デジパック仕様。ブックレット(16頁)、イラストカード(7枚)入り。

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  • ◎ Boa Noite Pra Falar Com O Mar(Independente 2016)Joana Queiroz Sexteto
  • 2ndアルバムはカルテット(Quarteto)名義の《Uma Maneira de Dizer》(2013)から、Joana Queiroz、Beth Dau(ヴォーカル)、Bernardo Ramos(ギター)、Rafael Martini(ピアノ)、Bruno Aguilar(コントラバス)、Felipe Continentino(ドラムス)の6人(Sexteto)編成となった。全8曲中ヴォーカル入りは2曲だけだが、JoanaとBeth Dauの2人が自由奔放にスキャットしているので「インスト・アルバム」という感じはしない。彼女が率いる管楽六重奏団、Inventosのメンバーが客演した〈La Sorpresa〉はCarlos Aguirreに捧げた曲。クラリネットが狂おしく泣き咽ぶ〈Canticos XII〉は詩人セシリア・メイレレス(Cecília Meireles)の歌詞を使用している。変幻自在の高速スキャットや変態ギターなどが疾走する〈Na Guaribada da Noite〉はHermeto Pascoalのカヴァ。ラストの〈Estrada〉ではJoana Queirozが子供たちと一緒に愉しそうに歌っている。怪奇と幻想が渦巻く新世紀のブラジル音楽である。

  • ◎ Diario De Vento(Independente 2017)Joana Queiroz
  • 《Boa Noite Pra Falar Com O Mar》(2016)の前にレコーディングしていたというソロ名義のアルバム。Joana Queirozのヴォーカルとクラリネット、ピアノ、鉄琴、打楽器、手拍子‥‥とフィールド・レコーディングした野鳥や昆虫の鳴き声、草叢を踏み歩く人(彼女自身?)の足音、子供たちの話し声、川の流れや雨音などの自然音が優しく融け合う。森の奥で密かに開かれた密やかなプライヴェート・コンサートに招かれたような錯覚に陥る。招待客も飛び入りで演奏に参加したくなるような親密さに溢れている。エルメート門下生としての実験性もナチュラルに発揮されている。クラフト色の見開き紙ジャケに1枚の木の葉を白と銀色で転写したハンドメイド・カヴァ(Pilar Rocha)なので、木の葉の形状が1枚1枚異なる。予め実物を見ることが出来ないネット通販ではなく、リアル店舗で手作りアルバムを見比べて購入した方が愉しい。

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    数年前、某タワレコで購入した《Uma Maneira De Dizer》には「税込 ¥3035」の値段が付いていた。三千円以上のアルバムは買わないことにしているのだが、観念してレジに持って行くと、旧譜なので半額になりますと言われた。レジ係の女の子は申し訳なさそうに「済みません」とマニュアル通りに応対する。半額シールを貼ってないのは店側の落度かもしれないけれど、安く買えた顧客に謝ることはないでしょう。ところが、知る人ぞ知る存在だったJoana Queirozの人気が急上昇!‥‥年末(2016)にリリースされた《Boa Noite Pra Falar Com O Mar》は早々に売れ切れ、《Diario De Vento》も即日完売という異常事態は実に不可解である。《Uma Maneira De Dizer》も再入荷したというから、購入者の多くは新参リスナーだと思われる。どのような音楽を聴いている人が購入しているのか?‥‥旧来のジャズ愛好家なのか、それとも新しい音楽に敏感な若年層なのか。注文がネット通販に殺到しているらしく、購入者の顔も見え難い。ジョアナ・ケイロスの人気沸騰は奇々怪々!?

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    • 突然降って湧いた異常人気に戸惑う「ジョアナ・ケイロス(Joana Queiroz)の怪」

    • 《Boa Noite Pra Falar Com O Mar》《Diario De Vento》は再入荷で買えました

    • 昭恵夫人をコントロール不能の安倍総理も「中南米政策スピーチ」(2014)の中で、セシリア・メイレレスの詩を引用していました。外務省の官僚が書いたのでしょうか
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    Uma Maneira De Dizer

    Uma Maneira De Dizer

    • Artist: Joana Queiroz Quarteto
    • Label: Ais
    • Date: 2013/02/05
    • Media: Audio CD
    • Songs: Martin, Camilo y Juan / Apesar do Frio / Mais Perto / Viagem / Uma Maneira de Dizer / Partida / Perto / Sutil / Reza


    Boa Noite Pra Falar Com O Mar

    Boa Noite Pra Falar Com O Mar

    • Artist: Joana Queiroz Sexteto
    • Label: Independente
    • Date: 2016/12/28
    • Media: Audio CD
    • Songs: O Tapete / Uma Danca / Temperanca / Boa Noite pra falar com o Mar / La Sorpresa / Canticos XII / Na Guaribada da Noite / Estrada


    Diario De Vento

    Diario De Vento

    • Artist: Joana Queiro
    • Label: Independente
    • Date: 2017/03/03
    • Media: Audio CD
    • Songs: Das Horas (Um dia em Una) / Das Abelhas / Das Criancas (Acalanto) / Concha / Dos Objetos / Noite na Rede (com Anuta) / Das Aguas


    月刊ラティーナ 2017年3月号

    月刊ラティーナ 2017年3月号

    • 特集:インディー・クラシックとその周辺の注目のシーン
    • 出版社:ラティーナ
    • 発売日:2017/02/20
    • メディア:雑誌
    • 目次:インディー・クラシック / ポストクラシカル / ヨーロッパ・チェンバー / 南米のラージ・アンサンブル / 南米のチェンバー・ミュージック / yMusic インタビュー / ベンジ・カプラン インタビュー / ロウレンソ・へベッチス インタビュー / レアンドロ・カブラル / スルル・ナ・ホーダ / マリオ・ラジーニャ / ジュリアン・ドレ / ウォリス・...

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    コメント 2

    ぶーけ

    ミレーヌ姫も日本で突然人気がでたりしないでしょうか?
    インターネットが普及して、色々ワールドワイドになっても、
    やっぱり離れたまま。。><
    by ぶーけ (2017-03-17 13:14) 

    sknys

    ネットには世界中の音楽情報が溢れているのに、
    日本人の多くはドメスティック(内向き)で、
    ミレーヌ姫もジョアナ・ケイロスも一部の洋楽愛好家にしか聴かれていない。
    未知の音楽を聴きたいという欲求が減退しているのかしら?
    by sknys (2017-03-17 19:21) 

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