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真夏のクリアランス 2 0 1 6 [m u s i c]



  • ◎ Curiosity(Coolangatta 2015)Emilie Gassin
  • エミリー・ガッサン(Emilie Gassin)は豪メルボルン生まれの女性SSW。同姓同名のフットボール選手がいたので、調べてみたら本人だった。16歳から3年間(2004-2006)、パリ・サンジェルマンでストライカーとしてプレイしていたという経歴に驚く。メルボルン大学で美術を専攻した後、音楽に専念するようになる。デビュー・アルバムは全13曲中11曲が英語詞の自作曲で、仏語詞はブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)の〈Ca Pourrait Changer〉、ルナン・リュス(Renan Luce)と共作デュットした〈Petite Anglophone〉の2曲。ピアノの伴奏によるバラード〈Lovely〉、攻撃・反逆的な〈Punch〉、バンジョーと軽快に踊る〈Swim Along〉、アカペラで歌われる〈I'm Sorry〉、チェロが暗鬱な旋律を奏でる〈Sad Songs〉‥‥。謝辞欄にYoussou N'dourやAyoの名前があるように、エミリーのヴォーカルは意外にもリズミックでソウルフル。アルバム・タイトルはオープニング曲の〈Curiosity Killed The Cat〉から採られている。「猫ジャケ」ならば完璧だった?

  • ◎ Perpetual Motion People(Bella Union 2015)Ezra Furman
  • アルバム・カヴァに写っている黒と紺の横縞ジャケットに黒いワンピースと黒タイツの女性に違和感を感じた人は鋭い観察眼の持ち主かもしれない。女装していることからも分かるように、米シカゴ・イリノイ生まれのエズラ・ファーマン(Ezra Furman)はジェンダー・フルイディティ(gender fluidity)である。女装の男性を気持ち悪いと思うか、興味深いと思うかで、リスナーのジェンダー観も試されている。「ルー・リードは私の理想的な人物だった。私のようにバイセクシャルだった」(The Guardian)と語るエズラ・ファーマンはBob Dylan、Morrissey、Little Richard、David Bowie、New York Dolls、T Rex 、70年代のパンク、80年代のグラム、Grace Jones、Boy George、Antony Hegarty‥‥などの名前を挙げながら、トランスジェンダー・ミュージシャンの系譜に自分を加える。ソロ名義のアルバムは彼のツアー・バンド(The Boy-Friends)とレコーディングしている。女装してライヴ・パフォーマンスも行なうというから愉しみだ。

  • ◎ Sirens(Nettwerk 2015)The Weepies
  • The Weepiesは米マサチューセッツ・ケンブリッジ出身の夫婦デュオ。元々SSWとして個別に活動していたスティーヴ・タネン(Steve Tannen)とデブ・タラン(Deb Talan)の2人が互いに意気投合して2001年に結成したバンドである。5thアルバムはDeb Talan(ピアノ、シンセ、メロトロン、キーボード、ギター、ウクレレ) 、Steve Tannen(ギター、ピアノ、キーボード)の2人に、Gerry Leonard(ギター)、Rami Jaffee(オルガン)、Tony Levin(ベース)、Frank Lenz、Pete Thomas(ドラムス)など、20名以上のミュージシャンが参加して、癒し系フォーク・ロックを奏でる。何よりも魅力的なのは男女2人のヴォーカルで、コーラス・ワークの息も合っている。ウィーピーズ(weepies)とは「お涙ちょうだい映画」(weepy films)のこと。アルバムは2014年、Deb Talanの乳がん闘病中にレコーディングされたという。彼女はアルバム・カヴァ(海中で泳ぐセイレーンたち)も描いている。大きなシャボン玉越しに撮られた2人のポートレイト(裏カヴァ)も素敵。

  • ◎ Weird Sister(Fortuna Pop! 2013)Joanna Gruesome
  • Joanna Gruesomeは2010年、英ウェールズ・カーディフで結成されたノイズ・ポップ・バンド。身の毛もよだつバンド名はSSWの女性ハープ奏者、Joanna Newsomに由来するという。Alanna McArdie(ヴォーカル)、 Owen Williams(ヴォーカル、ギター)、George Nicholls(ギター)、Maximum Warren(ベース)、David Sandford(ドラムス)の5人組のデビュー・アルバムはパンクやノイズの影響が色濃いけれど、紅一点Alannaのヴォイスが意外と可愛いので、激情型のライオット・ガルー系というよりもニューゲイザー風に聴こえたりする。清楚な娘から絶叫女に変貌する〈Anti-Parent Cowboy Killers〉、Deerhoofみたいにアヴァン・ポップな〈Sugarcrush〉、ギター・ポップの〈Lemonade Grrrl〉、 Williams Owenとデュエットした〈Candy〉、パンク魂で爆走する〈Graveyard〉‥‥全10曲、28分間を旋風のように高速回転しながら吹き抜ける。

  • ◎ Hellno Kitty(Reft 2014)Anais
  • 「ALICE IN WONDERLAND」のTシャツを着て、ウェスタン・ハットを被った女性がセックス・ショップの前で横を向いている白黒フォト・カヴァ。ピンクの腰巻きにアーティスト名「Anais」とアルバム・タイトル「HELLNO KITTY」の文字がある。「ヘルノーキティ」というグランピー・キャット(grumpy cat)が公式に認知されているのかどうか分からないけれど、アリスとセックスとキティちゃんの取り合わせは危険すぎる。アナイス・クローゼ(Anaïs Croze)はフランスの女性SSW。「The Cheap Show」と呼ばれるライヴではギターとループ・ペダルを使って、1人でパフォーマンスする。ジョニ・ミッチェルを真似て歌う〈What Would We Have Done Without Joni Mitchell〉、企業の人事部長をレゲエで皮肉る〈DRH〉、仏語でラップする〈Slam Collectif〉‥‥全8曲に、ボーナス・トラックとして〈DRH〉のアクースティック・ヴァージョンと〈Slam Collectif〉のリミックスを収録。

  • ◎ Ilumiara(Independente 2015)Ilumiara
  • ブラジルのネオ・フォルクローレ・グループ、イルミアラ(Ilumiara)のデビュー・アルバム。Alexandre Gloor(フィドル)、Carlinhos Ferreira(パーカッション)、 Leandro César(ギター)、Letícia Bertelli、Marcela Bertelli(ヴォーカル)の5人組で、ミナスに伝わるフォルクローレを最新のアレンジで現代に甦らせる。Bertelli姉妹のヴォーカルやメンバーのコーラス。ギター(violao)、フィドル(rabeca)、マリンバ、パンデイロ、ビリンバウ(berimbau)などの演奏。Kristoff Silva、Rafael Martini、Felipe Joseなど、新ミナス派のミュージシャンがアレンジしているためか、シンプルで音数の少ないアクースティック・サウンドなのに立体的で音響的な広がりが感じられる。ヴォーカルとコーラス、フィドルとマリンバだけで音像を現前させる〈Das Pedras〉、Sergio Perere(ヴォーカル)がゲスト参加した〈Vissungos〉‥‥「音響派フォルクローレ」と呼んでも良いかもしれない。アルバム・デザインは画家でSSWのLeonora Weissmannが担当している。

  • ◎ Le Noise(Reprise 2010)Neil Young
  • 70歳になっても錆びることなく、精力的に音楽活動を続けるNeil Young。31thアルバムははNeil Youngのギター弾き語りに、プロデュースのダニエル・ラノワ(Daniel Lanois)がダブ的な音響処理を施したもの(仏語タイトルの「Le Noise」は「Lanois」の駄洒落!)。映像版DVDはLAにあるDaniel Lanoisの自宅スタジオで撮ったライヴ・パフォーマンス(全8曲・39分)を収録。Neil Youngは白いグレッチ(Whitefalcon)と黒いレスポール(Old Black)を弾き鳴らして〈Walk With Me〉〈It's An Angry World〉〈Hitchhiker〉などを歌い、〈Love And War〉と〈Peaceful Valley Boulevard〉をアクースティック・ギター(Guild)で弾き語る。モノクロ(一部カラー)画像だが、サウンドと同じように映像処理されているので最後まで飽きさせない。16×9、リニアPCMステレオ、NTSC、リージョン・オール。高画質・高音質のBlu-rayも出ています。

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    台風ラッシュによる豪雨・水害の日本列島とは真逆のクリアランス・セール。今夏のタワレコ東京地区は日照り・旱魃の様相を呈している。厩戸王子に雨乞いして欲しいくらいだが、そもそも未入荷のアルバムはセール品にはならない。ロック・ポップスなどは兎も角、ワールド・ミュージック・コーナーの縮小を想えば、夏枯れは当然の帰結である。売れないから入れないという保守・消極的な品揃えはデフレ・スパイラルと同じ道を辿るはず。しかも不毛なセールにセドリ風情がイナゴの大群並の猛威を振るっている。黄色いカゴに鷲掴みで一杯詰め込んで浚って行く。セドリたちに音楽への愛はない。あるのは金銭欲だけだ。音楽への造詣や情報がないので、アルバムの価値や評価も分からないのが唯一の救い。たとえば、Ezra Furmanが女装した男性であることも、Ilumiaraがブラジルのネオ・フォルクローレ・グループであることも知らないので、ワゴンの中から掘り当てた時の喜びもないのである。

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    • ¥290(税抜 ¥269)×7=2030円の出費です^^;
    • 写真は左上から、Emilie Gassin、The Weepies、Ezra Furman、Anais、Joanna Gruesome、Macarena Robledo、Ilumiara、Sementeira、Parquet Courts、Neil Young(中央)‥‥Anaisは2016年1月に購入しました
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    Curiosity

    Curiosity

    • Artist: Emilie Gassin
    • Label: Coolangatta
    • Date: 2015/03/30
    • Media: Audio CD
    • Songs: Curiosity Killed The Cat / A Little Bit of Love / Ca pourrait changer / Break You As I Go / Lovely / Love Sick / Petite Anglophone (feat. Renan Luce) / My Heart Is Bigge r/ Punch / Swim Along / I'm Sorry / Sad Songs / Ray Of Sunshine


    Perpetual Motion People

    Perpetual Motion People

    • Artist: Ezra Furman
    • Label: Bella Union
    • Date: 2015/07/07
    • Media: Audio CD
    • Songs: Restless Year / Lousy Connection / Hark! To The Music / Haunted Head / Hour Of Deepest Need / Wobbly / Ordinary Life / Tip Of A Match / Body Was Made / Watch You Go By / Pot Holes / Can I Sleep In Your Brain / One Day I Will Sin No More


    Sirens

    Sirens

    • Artist: The Weepies
    • Label: Nettwerk Records
    • Date: 2015/04/28
    • Media: Audio CD
    • Songs: River From The Sky / No Trouble / Sirens / Learning To Fly / Never Let You Down / Wild Boy / Ever Said Goodbye / Fancy Things / Early Morning Riser / Boys Who Want To Be Girls / Crooked Smile / Brand New Pair Of Wings / Sunflower / Does Not Bear Repeating / ...


    Ilumiara

    Ilumiara

    • Artist: Ilumiara
    • Label: Independente
    • Date: 2015/08/14
    • Media: MP3
    • Songs: Auto Fim de Capina / Penerô Gavião / Punhadim / Lavadeiras / Toadas de Remeiros / Canto do Tropeiro / Das Pedras / Machadeiros / Fiandeiras / Vissungos / Senhora Santana / Capoeira


    Hellno Kitty

    Hellno Kitty

    • Artist: Anais
    • Label: Reft
    • Date: 2014/11/10
    • Media: Audio CD
    • Songs: What Would We Have Done Without Joni Mitchell / DRH (Radio Edit) / Slam Collectif / J'attends mon Joe / Une petite fuite / L'autotune / Oublie moi / C'est quand / DRH (Acoustic) / Slam Collectif (R-Ash Remix)


    Weird Sister

    Weird Sister

    • Artist: Joanna Gruesome
    • Label: Fortuna Pop!
    • Date: 2013/09/24
    • Media: Audio CD
    • Songs: Anti-Parent Cowboy Killers / Sugarcrush / Wussy Void / Madison / Lemonade Grrrl / Secret Surprise / Do You Really Wanna Know Why Yr Still in Love with Me? / Candy / Graveyard / Satan


    Le Noise

    Le Noise

    • Artist: Neil Young
    • Label: Reprise
    • Date: 2010/12/21
    • Media: DVD
    • Songs: Walk With Me / Sign Of Love / Someone's Gonna Rescue You / Love And War / Angry World / Hitchhiker / Peaceful Valley Boulevard / Rumblin'

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