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完璧なる子ネコちゃん(2 0 1 4) [r e w i n d]



  • ◎ THE SOUL OF ALL NATURAL THINGS*(Asthmatic Kitty)Linda Perhacs
  • Linda Perhacsは米カリフォルニア出身のアシッド・フォークSSW。《Parallelograms》(Kapp 1970)以来、実に44年振りの2ndアルバムがSufjan Stevensの主宰するレーベルからリリースされた。Chris Price、Fernando Perdomoとの共同プロデュースで、Julia Holter、Ramona Gonzalez(Nite Jewel)などがゲスト参加している。BjorkやMilton Nascimento(復帰を後押ししたDevendra Banhartから教えてもらった)にインスパイアされたという2ndアルバムはタイトル曲が途中からタンゴ調に変化するなど驚異的!‥‥女性監督ジェシカ・ハンドリー(Jessica Hundley)が撮ったPVは〈Prisms Of Glass〉というタイトルの通り、プリズムが光り輝く幻想的な室内でLinda Perhacsが歌い、3人の女性ダンサーが踊る。彼女を真ん中に、Julia HolterとNite Jewelが左右横に並ぶ3ショットは感慨深い。Linda Perhacsと2人の年齢差は親子どころか、祖母と孫娘くらい離れているのではないかしら?

  • ◎ SAY YES TO LOVE(Captured Tracks)Perfect Pussy
  • NYシラキュースで結成されたノイズ・ロック、ハードコア・パンク・バンドのデビュー・アルバム。紅一点のMeredith Graves(ヴォーカル)、Ray McAndrew(ギター)、Garrett Koloski(ドラムス)、Greg Ambler(ベース)、Shaun Sutkus(キーボード)という5人組。全8曲、23分というパンクならではの潔さ。ボーナス・ライヴ・トラック(フリー・ダウンロード)の4曲を加えても32分に満たない。騒乱暴走した果てに、立ち止まってノイズの渦を撒き散らす。バンド名の頭文字(PP)をデザインした紋章らしきものが描かれているスリップ・ケースを引き抜くと、「ホワイト・アルバム」みたいに真っ白なプラケースが現われる仕掛け。「pussy」には性的な意味もあるけれど、このブログではガミッチ君のような「完璧なる子ネコちゃん」ということにしておこう(未成年者は「Perfect Pussy」で画像検索しないようにね)。

  • ◎ UNITY*(Healing Records)Hassan Hakmoun
  • モロッコのグナワ・ミュージックを世界に広めた革新者、Hassan Hakmounの12年振りのスタジオ・アルバム。Hassan Hakmounのヴォーカルと3弦ベース(sintir)、鉄製カスタネット(karkaba)にギター、ドラムス、パーカッション、フルート、キーボード‥‥という編成で強烈にファンク・ロックする。ジミヘンやパーシー(Robert Plant)の名前を挙げるまでもなく、昔からグナワとロックは音楽的に相性が良い。〈Balili〉〈Ohio〉のリミックス2曲を含む全12曲(70分)を収録。見開きスリップ・ケースの自主制作盤だが、内容的にも申し分ない。《Trance》(Real World 1993)に収録されていた〈Soutinbi〉もセルフ・カヴァしている。渋谷のエル・スール(EL SUR RECORDS)で購入した輸入盤の謝辞欄にはピーガブ(Peter Gabriel)爺などと並んで、店主・原田(Takashi Harada)さんの名前も載っているのだ。

  • ◎ TO BE KIND*(Young God / Mute)Swans
  • 2010年に大復活したMichael Gira率いるNY6人衆の13thアルバム。インディ・レーベルからのリリースだが、北米以外では新契約したミュート・レコーズから配給された。凶悪顔の男たちにLittle Annie、St. Vincent、Cold Specks(Al Spx)、Jennifer Churchなどの女性ゲストが華を添える。Sonic Youthと共にNYアンダーグラウンド・シーンを牽引した異端児は13年間の活動停止を経て今やUSオルタナティヴ・ロックの王道となった。全10曲、2時間超の大作(2CD)には曲単位で購入するデジタル・ダウンロードを嘲笑うかのように、10分以上の長尺曲を5曲(〈Bring The Sun / Toussaint L'Ouverture〉は34分)収録。子供たちの顔がプリントされた4面デジパック仕様の「2CD+DVD Edition」にはスペイン・バルセロナで毎年開催されている野外フェスティバル「Primavera Sound」(2013)のライヴ・パフォーマンス映像(DVD 111分)も同梱されている。

  • ◎ ALEXANDRE(Slap)Mombojo
  • ブラジル北東部ペルナンブーコで結成された5人組の5thアルバム。マンギ・ビートの猥雑さとエレクトロ・ポップの実験性が入り混じったサウンドでブラジル新世代を切り拓く。人体模型の頭部と録音機材がコラージュされたアルバム・カヴァが象徴しているように、ポリリズム、ノイズ、アナログ・シンセなどが実験室の中で攪乱された浮游感はStereolabを想わせなくもない。Yuri Queirogaのノイズ・ギターが炸裂するレゲエ調の〈Me Encantei Por Rosario〉。本家Laetitia Sadier(Stereolab)が参戦して英語詞パートを歌う〈Summer Long〉。ピンポンの球音をサンプリングした〈Ping Pong Beat〉。ゲスト・ヴォーカルのCeuがFelipe S.とデュエットした〈Diz O Leao〉。Dengue(Nacao Zumbi)がベースを弾くエクスペリメンタルな〈Cuidado, Perigo!〉。Mundo Livre S/A風のエレクトロ・マンギ・ビートで駆け抜ける〈Pro Sol〉。CDにはカヴァ・スリーヴとは別に小型の歌詞ブックレット(8頁)が付いている。

  • ◎ ULTRAVIOLENCE*(Polydor / Interscope)Lana Del Rey
  • Lana Del Rey(Lizzy Grant)はNY生まれの女性SSW。「ギャングスタ版ナンシー・シナトラ」(gangsta Nancy Sinatra)を自称し、「ハリウッド・サッドコア」(Hollywood sadcore)とも呼ばれる音楽スタイルは往年の映画女優のような気怠い頽廃感に覆われている。Dan Auerbach(The Black Keys)が大半をプロデュースした3rdアルバムは60年代のヒット曲〈And I Love Her〉〈Romeo And Juliet〉を彷彿させるノスタルジックなサウンド。モノクロのアルバム・カヴァ‥‥メルセデス・ベンツのドアを開けてパワーウィンドウに手を置く彼女(薄手の白いTシャツから肩紐のないブラジャーが透けて見える)のポートレイトも憂いを帯びている。Vanessa Paradisのようなロリータ・ヴォイスで〈Brooklyn Baby〉を歌い、〈Fuck My Way Up To The Top〉という身も蓋もないタイトルを付けるLana Del Reyには奥深い凄みのようなものまで感じられる。全11曲、51分。ボーナス・トラック3曲を追加収録した紙ジャケ仕様の「Deluxe Edition」もあります。

  • ◎ CHANT DE RECRUTEMENT(Le Saule)Antoine Loyer
  • アルバム・カヴァには不自然なフォルムで頭部に掌を置いた女性の肖像画(だまし絵?)が描かれているけれど、Antoine Loyerはベルギー仏語圏の男性SSWである。生ギター弾き語りの〈Caffer Caffer〉で始まり、次の〈Chant De Recrutement〉のカッワリー風ヴォイスに度肝を突かれる(歌っているのはAnwar Khanというインド・ラジャスタン地方のジプシー・ミュージシャン)。アクースティック・ギター、タブラ、ハーモニウム、ピアノ、ヴァイオリン、フルート、タンバリン、コントラバス、カリンバ、ベンディル(bendir)、バラフォン(balafon)、ベル(cloches)などに女性ヴォイスを配したサウンドはエキゾティックでソフィスティケートされている。南アジアのスーフィー音楽と西欧フォークとのシュールな邂逅。この奇妙で不思議な融合は「アンプラグド・フォークトロニカ」と呼びたくなる。「Bandcamp」で全曲試聴可能ですが、「EL Sur」にリクエストして購入しました。

  • ◎ MESHES OF VOICE(Susannasonata)Jenny Hval & Susanna
  • 2009年3月8日、ノルウェー・オスロのヘニー・オンスタッド・アーツ・センター(Henie-Onstad Art Centre)で行なわれたライヴ・パフォーマンス。ノルウェー人のイェニー・ヴァル(Jenny Hval)とスサンナ(Susanna Wallumroed)《Innocence Is Kinky》(Rune Grammofon 2013)で注目されたSSW(小説家)とシンガーのコラボレーションである。女性2人によるヴォイス、ノイズ、ピアノ、ギター、オートハープ、ハーモニウム、サンプラー、エフェクトにドラムス、ベースなどを加えた編成で、亜空間を漂流する悪夢のようにノイジーで妖美なサウンドを創出する。〈Black Lake〉〈O Sun O Medusa〉〈I Have A Darkness〉〈House Of Bones〉‥‥という曲名からも彼女たちの世界観が垣間見えるだろう。アルバム・タイトルの通り、2人のヴォイスは網の目のように互いに絡み合いながら、未知のノイズ空間を織り成す。暗黒空間を飛翔する羽毛のない翡翠のように。

  • ◎ RUINS(Kranky)Grouper
  • 法人類学者のテンペランス・ブレナンは「グルーピーよりもグルーパーの方が理に適っている」と発言していたが、諧謔的に自らGrouper(ハタ科の海水魚)と名乗るLiz Harrisのソロ・プロジェクトも良い感じ。2011年、彼女がポルトガル・アルジェズール滞在中にレコーディングしたというアルバムはオープニング曲の〈Made Of Metal〉とラストの〈Made Of Air〉(この曲だけは2014年に米ペタルーナの母の実家で録音されている)が呼応する構成になっている。今までのシューゲイズ〜アンビエント風のギター・サウンドではなく、ピアノによる弾き語りはプライヴェートでありながら、遠い昔のノスタルジーや深い森のメランコリーに包まれている。気怠い白日夢のようなドローンも健在で、野鳥の鳴き声や雷鳴などの自然音や環境音の含まれた音像世界は色の滲んだ印象派の絵画を想わせる。個人的な体験から生じた音楽なのに、数多くのリスナーの胸の奥に沁み入る普遍性を有する。

  • ◎ LA ISLA BONITA*(Polyvinyl)Deerhoof
  • 2014年に結成20周年を迎えた「鹿蹄」の12thアルバムは初めて外部のプロデューサ(Nick Sylvester)を起用。「女性を応援したい」というアルバム・コンセプトに即したチアリーディング曲の〈Paradise Girls〉、Ramonesのライヴ・カヴァ曲〈Pinhead〉を元にして作ったという〈Exit Only〉、拡声器で増幅されたヴォイスが反対の声を挙げる〈Big House Waltz〉、第44代米大統領の名前をモジった〈Oh Bummer〉‥‥全10曲(32分弱)の中にノイジーで愛らしいアヴァンポップのエッセンスが凝縮されている。アルバム・タイトルはスペイン語で「美しい島」という意味(Madonnaに同名のヒット曲がある)。美しいだけでなく危険でもあるというメッセージもCD盤にプリントされている煙を出して炎上する島から読み取れる。「美しい国」を標榜する某島国の総理大臣はディアフーフの音楽を1度でも聴いたことがあるのでしょうか。

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    Irene Bertachini、Sky Ferreira、St. Vincent、Angel Olsen、Neneh Cherry、Rodrigo Amarante、Cloud Nothings、Hundred Waters、Fennesz、Tune-Yards、Sharon Van Etten、Carol Naine、A Sunny Day In Glasgow、Alvvays、Ty Segall、Iceage、Andy Stott、FKA Twigs、Arca、Pharmakon‥‥なども印象に残った(Neil YoungやPato Fuなど未聴アルバムも数枚ある)。2014年はメジャー、インディーズを問わず、女性SSWの活躍が目立った。ストリーミングやダウンロードの普及でCDの売り上げは減少傾向にあるものの、その一方でアナログ・レコードやカセット・テープが見直された。FKA TwigsやArcaのアルバムは2014年の最先端サウンドだと思うけれど、まだリスナーの意識が追い着いていないような気もする。音楽の未来に想いを馳せる年の瀬(Xmas)に一撃を食らわしたのは33年振りに突如リリースされたFunkadelicのニュー・アルバム《First Ya Gotta Shake The Gate》(The C Kunspyruhzy)だった。3CD、全33曲、3時間半の大盤振る舞い!

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    Say Yes To Love

    Say Yes To Love

    • Artist: Perfect Pussy
    • Label: Captured Tracks Rec.
    • Date: 2014/03/18
    • Media: Audio CD
    • Songs: Driver / Bells / Big Stars / Work / Interference Fits / Dig / Advanced Upon The Real / VII


    Soul Of All Natural ThingsUnityAlexandre




    To Be KindUltraviolence-Ltd/Deluxe-Chant De Recrutement




    Meshes Of VoiceRuinsLa Isla Bonita
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    コメント 4

    sknys

    WARSZAWA BEST ALBUMS OF 2014
    1. Blank Realm - Grassed Inn
    2. Ought - More Than Any Other Day
    3. Angel Olsen - Burn Your Fire For No Witness
    4. Alex G - DSU
    5. Mitski - Bury Me At Make Out Creek
    6. Grouper - Ruins
    7. Parquet Courts - Sunbathing Animal
    8. Quilt - Held In Splendor
    9. Ty Segall - Manipulator
    10. Total Control - Typical System
    http://wrszw.net/best-album-of-2014/#4
    by sknys (2015-01-11 12:05) 

    ふじにぃ

    sknysさん こんにちは

    僕はあまり最新の音って知らないんですけど、昨年良く名前を聞いた中では、FKAとBanksは良いかななんて思っていました。

    あとArcaはつい先日知ったんですけど、これはCD買いたい気がしました。
    by ふじにぃ (2015-01-16 17:37) 

    sknys

    ふじにぃさん、コメントありがとう。
    Azealia Banksは未聴ですが、FKA Twigsは宇多田ヒカルみたいな感じ?
    サウンドよりもPVの方が超ヤバいような気もします。
    https://www.youtube.com/watch?v=O8yix8PZKlw

    3月にリリースされるという、
    Arcaが参加したBjorkのニュー・アルバム《Vulnicura》が愉しみにゃん^^
    by sknys (2015-01-17 01:36) 

    sknys

    iTunes StoreでBjorkの新作が配信されている!
    https://itunes.apple.com/gb/album/vulnicura/id959973080
    by sknys (2015-01-21 12:34) 

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