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F A V O R I T E ー B O O K S 7 [f a v o r i t e s]

  • 東京プカプカ(毎日新聞社 2013)中野 翠


  • 「サンデー毎日」の連載コラム1年分(2012.11-2013.11)を纏めた最新刊。著者の興味は映画、TV、本、歌舞伎、落語、ファッション、スポーツ、時事ネタなど多岐に渡る。近年は切れ味が鈍くなったような気もするけれど、『あまちゃん』フィーヴァーを「ファシズムの快感」と断じる感覚は鋭い。「東京プカプカ」という表題は『マツコ&有吉の怒り新党』(テレ朝)の「新・3大◯◯調査会」で採り上げた子供向け特撮番組『クレクレタコラ』(フジテレビ 1973-74)のテーマソングの一節「なーぜか木の上、ぷかりんこ」から。巻末特集として生誕110年、没後50年記念「小津映画への誘惑」を併録 140



  • さらば新宿赤マント(文藝春秋 2013)椎名 誠


  • 「週刊文春」に1990年から23年間、通算1126回連載していたエッセイ「新宿赤マント〜風まかせ赤マント」の最終巻。シリーズ第24弾は「蛇娘はどこへいった」から「地球の平和を守るため」まで、約2年分・全70篇のエッセイが収録されている。東日本大震災後に書かれたこともあってか、粗製濫造作家の軽薄短小エッセイ中に「少年マコト君の犯罪」「ぼくのなかの終戦の夏」「留置場の思い出」「不眠症への準備」など、ヘヴィなものも入っていて読み応えがある。シリーズ第1弾『ひるめしのもんだい』(1992)から愛読して来たが、これからは「ナマコのからえばり」(サンデー毎日)を読もうかな? 139



  • 目白雑録 5 小さいもの、大きいこと(朝日新聞出版 2013)金井 美恵子


  • シリーズ最新刊は今までの雑多な辛口エッセイとは趣きを異にする。「原発はバクハツだ!」という赤瀬川原平の辛辣なパロディ(岡本太郎の「芸術は爆発だ!」)から始まる本稿には猫もフットボールも登場しない。東日本大震災後、メディアに流布した「非常時のことば」が、いかに無神経な紋切り型で滑稽で空虚で気色悪いかということを過去と現在(2011. 6~2013. 5)の言説を縦横に織り交ぜながら検証する。萩尾望都の「プルート夫人」も俎上に載る。吸血鬼的エリートのミッフィーに対して、キティはゾンビ的という指摘も面白い 138



  • ミツ バルテュスによる四十枚の絵(河出書房新社 2011)バルテュス


  • バルテュス少年がネコとの出会いから別れまでを描いたインク画。スイス・ニヨンの城で1匹のネコを見つけた少年は旅先から船や電車を乗り継いで一緒に家へ連れて帰る。ミツ(光)と名づけられた白黒ネコは家族に可愛がられ、少年と遊んだり、散歩したり‥‥。でも、蜜月は長く続かない。ベッドで一緒に眠っていたミツが行方不明になってしまったのだ。ロウソクを灯して暗い地下室や庭や街中を探したが見つからない。バルデュスのモノクロ画は決して巧くはないけれど、ページをめくって行くうちに涙腺が刺戟される 137



  • ここはボツコニアン 2 魔王がいた街(集英社 2012)宮部 みゆき


  • TVゲームの〈ボツネタ〉で作られた世界ボツコニアン。〈伝説の長靴の戦士〉に選ばれた双子姉弟ピピとピノの2人がトリセツ(黄色い花の植木鉢)の道案内で本物の世界へ通じる手懸かりを探す旅に出る。第2巻「魔王がいた街」は水の街アクアテクでコスプレおたくのポーレ君と出会ったり、エリアボス〈氷の微笑〉を退治したり、回廊図書館の羊司書に魔王との会見を求めたり‥‥ゲームのやりすぎで五十肩に泣く作者(みやべみゆき)も口を出すメタ・ファンタジー。〈氷の微笑〉はノーパンというギャグに失笑。◯◯モトヤスシは大変態 136



  • ネコと歩けば(辰巳出版 2013)岩合 光昭


  • 隔月刊誌「猫びより」に連載中の「岩合光昭の猫」に未掲載写真を加えて再構成した大型写真集。宮城・田代島、北海道、神奈川・湘南、長野、京都・丹後、高知、山形、山梨、奈良、広島・宮島、石川・能登、山口、愛知‥‥13府県のネコたちが風景の中に優しく溶け込む。キャプション、府県別のネコ・エッセイ付き。「ハートのしっぽ」や高知県香南市のニラ農家(山猫母)で飼われている弥哉ちゃんも客演。巻末の「思い出の猫たち」では再び震災前の田代島での忘れられない体験、「島の陽の当たる坂道でネコたちに囲まれて過した時間」が語られる。震災後のネコたちも撮って欲しい 135



  • 猫語の教科書(筑摩書房 1995)ポール・ギャリコ


  • 友人の編集者が持ち込んで来た暗号文のような原稿は頭の良い牝猫がタイプライターを使って書いた子猫への指南書だった。「猫語の教科書」を翻訳した著者は近くに住む写真家夫妻の飼い猫ツィツァが作者ではないかと推測する。第1章「人間の家をのっとる方法」と題されているように、いかに飼主や家族を手玉に取って支配下に治めるかという処世術が具体的に書いてある。単行本は横書きだが、大島弓子の「描き下ろしマンガ」が巻末に付いている文庫版は縦書きで、猫写真のレイアウトも再構成されている。原題は「The Silent Miaow」134



  • なんといったって猫(晶文社 1987)ドリス・レッシング


  • ノーベル文学賞作家によるネコ・エッセイ。1925年、ドリスは英国人の父親に連れられて南ローデシア(ジンバブエ)に移住する。鷹、フクロウ、山猫、毒蛇など、アフリカの農場で体験した野生動物との攻防。その後、ロンドンに移り住んだドリスは友人夫婦から1匹の子猫を貰い受ける。シャム猫の血を継いだ灰色猫は王女のように振る舞う。レッシング家の一員として迎えられた黒猫との確執。2匹の猫に対する著者の観察と描写は意地悪いと思えるほどだが、腸炎に罹って重態になった黒猫を献身的に看護する姿は猫への愛で溢れている 133



  • にゃん辞苑(アスペクト 2012)保田 明恵


  • ネコ版広辞苑第2版?‥‥『猫辞苑』(祥伝社 2004)が猫イラストと猫に纏わる言葉や熟語、俚諺、故事成語など100語だったのに対し「にゃん辞苑」はネコ写真と見出し語126語を収録している。語句の説明文だけでなく、用例や慣用句(著者の創作した架空のもの)もウイットに富み、面白い。「池袋の壁黒猫を追え」や「ハチワレ・マトリクス」など9篇のコラムも併録しているので、小辞典というよりも小型のムック本に近い。《サイレント-ミュウ【silent-meow】こちらを見て、声を出さずに、「ニャー」と鳴く口の形をすること》 132



  • 猫の本棚(平凡社 2011)木村 衣有子


  • 女性随筆家による「猫本」ガイド。「猫文学を読む」「猫を知る」と題して武田百合子の『富士日記』から浅生ハルミンの『私は猫ストーカー』まで28冊が本棚に並ぶ。夏目漱石や内田百閒などの「古典」もあるが、大島弓子、吉行理恵、ポール・ギャリコ、笙野頼子、金井美恵子、町田康、庄司薫、岩合光昭‥‥など「猫のゆりかご」シリーズで紹介した「猫本」や作者と重なる部分も少なくない。「あらすじ」を要約しただけの無味乾燥な「ブック・ガイド」ではなく、個人的な読書感想文になっているところが魅力的で、時にはスリリング! 131



  • ニール・ヤング自伝 III(白夜書房 2012)ニール・ヤング


  • 2011年6月、爪先を骨折したNeil Youngがマリファナもアルコールも断って書いたという自伝(上下2巻本)。趣味の鉄道模型やヴィンテージ・カー、高音質音楽ファイルのピュアトーン(ポノ)、バイオ燃料車のリングヴォルト、妻ペギーと2人の息子たち(脳性麻痺)、ダニー・ウィッテンやデイヴィッド・ブリッグスなど亡くなった音楽仲間、Buffalo Springfield、CSN&Y、Crazy Horse‥‥時系列を無視した現在と過去が混在する気儘なエッセイになっている。第67章の〈Will To Love〉、最終章のフィクションなど驚きも少なくない 130



  • 物語るあなた 絵描くわたし(河出書房新社 2012)萩尾 望都


  • 1970年代、80年代に続く萩尾望都の90年代対談集。中島らも、夢枕獏、森博嗣、氷室冴子、ささやななえ、巖谷國士の6人に加えて、東村アキコとの語り下ろし対談を収録。巻末にはエッセイマンガ「わたしのデビュー時代」(1985)も再録。中島らもとの幽霊談義、森博嗣との天才対談?‥‥。少女マンガの特質を解明する巖谷國士との対談が白眉。ささやななえの「ダートムーアの少年」(1972)でアシスタントをした萩尾、竹宮恵子、山田ミネコの描いたコマを探し出すなど、言及した作品の図版やレイアウトも微に入り細を穿っている 129



  • ぼくのメジャースプーン(講談社 2009)辻村 深月


  • 小学校で飼っていた兎たちが惨殺されているのを発見した世話係の少女(小4)はショックの余り失語症に陥り不登校になってしまう。同級生の「ぼく」は犯人に不思議な力で復讐する。同じ能力を持つ大伯父(秋山一樹)が主人公に指南する1週間。「ぼく」の語る1人称描写には「アクロイド殺し」のように、一番肝腎なことに触れないという「叙述トリック」が仕掛けられている。『子どもたちは夜と遊ぶ』の中の真相も明らかにされる。秋先生は市川雄太に「今すぐその手を離しなさい。でなければ、お前は‥‥」と呪いをかけたのかしら 128



  • 冷たい校舎の時は止まる 上(講談社 2007)辻村 深月


  • 雪の降りしきる校舎の中に閉じ込められた高校生たちが1人ずつマネキン人形に姿を変えられて消えて行くというホラー・ミステリ。作者と同姓同名キャラ(「辻」のシンニョウが3画)が出て来る。「吹雪の山荘」「嵐の孤島」という古典的な舞台設定。「そして誰もいなくなった」を踏襲したストーリ展開。学園祭の最終日に校舎の屋上から飛び降り自殺した生徒(?)の「脳内世界」ならば、どんな超常現象が起こっても不思議じゃない。『子どもたちは夜と遊ぶ』(2005)よりも長いのは「叙述トリック」が2つ仕掛けられているから? 127



  • なのはな(小学館 2012)萩尾 望都


  • フクシマから避難した一家の娘ナホとチェリノブイリで被曝した少女が夢の中で交感する表題作「なのはな」と放射能物質を擬人化した3部作「プルート夫人」「雨の夜─ウラノス伯爵─」「サロメ 20XX」に描き下ろし短篇を収録した反・脱原発作品集。興味深いのはウラノス伯爵(ウラン)、プルート夫人、踊り子サロメ(プルトニウム)が妖しい魔力を秘めた絶世の美男美女として描かれていること。宮沢賢治のイメージを紡いだ「なのはな─幻想『銀河鉄道の夜』」は学とナホ兄妹が祖母や動物などの死者たちを運ぶ汽車に同乗する夢である 126



  • ジグβは神ですか(講談社 2012)森 博嗣


  • 三重県の宗教施設・美之里へ避暑に来た加部谷恵美、雨宮純、山吹早月、海月及介は全裸女性殺人事件に遭遇する。梱包用の透明フィルムでラッピングされて棺に入れられた死体を発見したのは隅吉重久から娘の調査依頼を請けて来た作家の水野涼子‥‥殺された遺体は娘の真佐美だった。彫刻家の砂羽知加子。人形作家のジェーン・島本。「β」と呼ばれる美之里代表・曲川菊矢。G(ギリシャ文字)シリーズ第8作目は犀川創平こそ出て来ないものの、西之園萌絵、佐々木睦子、椙田泰男、瀬在丸紅子など‥‥S&M、V、Xシリーズの主要キャラたちが総登場する。あの天才博士・真賀田四季も姿を現わすのだ! 125



  • 子どもたちは夜と遊ぶ 上(講談社 2008)辻村 深月


  • 綾辻行人直系の新本格長編かと期待したらサイコ・ミステリだった。月子の苗字が明かされないのは叙述トリック。3人称視点が目まぐるしく変わる。木村浅葱の独白はボルヘス言うところの「当てにならない話者」。『レッド・ドラゴン』を引き合いに出すまでもなく、1人称視点の「エピローグ」で描写される恭司はレクター博士や真賀田四季を想わせなくもない。上・下2巻は長すぎなくないか、エンターテイメントとしては悲惨で痛々しくないか、萩野清花が救われないではないか‥‥など不可解なところもあるけれど、最後まで読ませる 124



  • パリにゃん II(産業編集センター 2012)酒巻 洋子


  • 仏在住のフリー編集ライターがパリのネコを紹介する実録版「ナーゴ」第2集。パリ・猫区(1・3・7・9・12・13・16・18・20区)のアパルトマンや郊外の民家で飼われているネコたちが登場。コラム「ノルマン猫、"パリにゃん" になる」ではノルマンディーの家の外猫ミヌーが産んだ6匹の子猫を里子(4匹)に出す顛末が語られる。表紙では隠れて見えないけれど、少女チェレストの赤いキャミソールにエミリーと黒ネコ(Emily the Strange)がプリントされている 123



  • ネコたちをめぐる世界(小学館 1993)日高 敏隆


  • ネコ派の動物行動学者によるネコ・エッセイ集。リュリ、サンク、バルバル、ブランシェ、ポーちゃん、パンダ、ゲリル、ベルベル、ミロワール・デ・シャ、レオノール・フィニ、トレード、チュッチュ、ボンジョヴィ‥‥など、日高家のネコたちが登場。「彼らは何を考え、何を感じているのだろうか? 世界をどう認識し、どんな世界観をもっているのだろうか?」。「本の窓」(1979~83)に連載された24篇に6篇のエッセイを併録。親本は1989年の刊行で、小学館ライブラリー版には可愛い「ネコグッズコレクション」も収録されている 122



  • GENGA OTOMO KATSUHIRO ORIGINAL PICTURES(PIE International 2012)大友 克洋


  • 「大友克洋GENGA展」(3331 Arts Chiyoda 2012)に合せて出版された原寸大の原画集(原画展の図録ではない)。幻の投稿作品「海が‥」(COM 1971)から「DJ TECKのMORNING ATTACK」(芸術新潮 2012)まで、デビュー後39年間に渡る原画172点を収録している。著者インタヴューや対談(石井聰亙・黒澤明・江口寿史・高野文子)も再録。「AKIRA」(ヤングマガジン 1982-90)以降はマンガを殆ど描いていないので、イラスト、ポスター、表紙カヴァなどが中心。原画は一見の価値ありですが、画集は重くてデカくて高い 121


                        *


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    コメント 2

    トミー。

    投稿作品「海が‥」(COM 1971)
    ちょっと探したけれど解りませんでした。
    何月号なんでしょうね。
    by トミー。 (2012-11-17 20:35) 

    sknys

    大友克洋の「海が‥」はCOM 1971年2月号。
    残念ながら「扉絵?」と「寸評」だけですが‥‥。
    全ページ掲載していれば、後々までの語り種になったのにね^^;
    http://www.kudan.jp/EC/mokuroku/photo-zasshi/com1971-02-2.jpg
    by sknys (2012-11-17 21:14) 

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