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姪が赤い目 [p a l i n d r o m e]



  • 彼は音もなくベビーベッドの反対側にとびあがると、おのれの金色の目を月光のなかでひたとシシーの目に据えた。それから、彼女の邪悪な顔にむかって、まっすぐに前進を開始した。ゆっくりと、急がず、空間の属性に関するおのれのすぐれた知識を利用して、ハットピンをこちらにむかってふりまわす彼女の手と腕のなかを、どこまでもまっすぐに歩いてゆく。最後に鼻の先が彼女の鼻すれすれのところで止まったとき、彼の目はまばたきもせず、彼女はその目から自分の目をそらすことができなかった。それから彼は、躊躇なくおのれの魂を一握りの炎の矢のごとく相手の体内に打ちこみ、〈鏡の魔法〉を働かせたのだった。/ 月光に照らされたシーシーの猫的なおびえた顔、これはある意味でガミッチの、真正のガミッチ仔猫の、この世で見た最後のものであった。というのもつぎの瞬間には、邪悪な、真っ黒な、一寸先も見えぬ雲、彼自身のそれと入れかわったシシーの魂という雲のなかに、全身がつつみこまれるのが感じられたからだ。と同時に、彼は聞いた──少女が一声高く、鋭い叫びをあげるのを。/「おかあちゃん!」
    フリッツ・ライバー 「跳躍者の時空」


  • ▢ 奇抜な武井咲が来た。白下着が見え、生けたな椿!
    県立明日香工業高校に入学した吉野直(武井咲)が華道部の部長に抜擢された。男子ばかりの部員たちに吉野流家元の作法を手ほどきすることになったのだ。毎週土曜日に部活の一環として「華道教室」を開いている。女部長の登場を今か今かと待っていた多くの男子生徒たちはヴィヴィアン・ウエストウッドかアレキサンダー・マックイーンかと見紛うほど斬新で奇抜なパンク・ファッションに目を奪われた。黄色い超ミニドレスに身を包んだ吉野直(17歳)が水盤の前に正座する。彼女が手にしたのは白い椿だった。その花を生けたのは資生堂「TSUBAKI」のCMに出演したからではないかという噂も囁かれたが、それ以上にショッキングな話題はミニ・スカートの奥に見え隠れするパンチラ疑惑であった。吉野直は生ける花の色と下着の色をコーディネートしているのではないか?‥‥花の色が穿いている下着の色を仄めかしているというのだ(先週は紫色の菖蒲、先々週は赤い薔薇だった!)。「清純そうに見えるけれど、本当は男好きの肉食系ギャルなのよ」‥‥ハレンチな噂を純真な男子生徒に吹聴しているのは、小悪魔女子高生の相沢桃(剛力彩芽)である。

    ▢ 女子が焦れ覚醒剤急く、彼氏が所持
    元アイドル少女が覚醒剤所持容疑で逮捕された。DJサイバー・ノリP名で某クラブに出入りしていた頃から、そのハッチャケたプレイぶりは有名で、クスリを決めているのではないかという噂が流れていたらしい。彼女が覚醒剤に手を染めたのは彼氏(元亭主)の影響もあったという。彼氏が覚醒剤常用者だったのだ(どうして清純派アイドルや美人女優はダメ男と結婚〜離婚して穢れ窶れてしまうのだろうか)。今後、彼女が覚醒剤から完全に手を切って更生するかどうかは分からないけれど、何度も同じ容疑で繰り返し逮捕される芸能人やタレントを見聞きしていると、薬物中毒症から立ち直るための専門医療機関や更生施設があっても良いのではないかと思う。脳が一度知ってしまった快感は自分の意志とは関係なく一生忘れることがないという。もちろん覚醒剤だけでなく、ヘロイン、コデイン、メスカリン、アルコール、ニコチン‥‥など、中毒性の高い薬物依存症から抜け出すのは難しい。違法薬物の使用に対しては「自己責任」という意見だった中島らも氏も悪辣な覚醒剤だけは例外的に禁止している。

    ▢ 健気なわとび跳びゴム段跳んだ婿。人々輪投げ投げ‥‥
    四国地方の人里離れた寒村に一風変わった「婚礼儀式」があると知った黒木ジュンは恋人の橘ルミと一緒に取材へ向かった。石森プロでアシスタントをしているジュンは自分が描くデビュー作の題材になるかもしれないという淡い期待もあったが、ルミの方は婚前旅行というルンルン気分で心浮かれていた。毎年6月に1回だけ一般公開される「婚礼儀式」は2人の想像を遙かに超えたものだった。村人たち十数人が互いに手を握り合って人の輪を作る。その中央で介添人らしき男女が1本の縄を回し、その中に新郎が跳び込む。失敗した時点でナワ跳びは終わり、次に同じようにゴム段跳びをする。ゴム跳びが終わると、その場に新郎が蹲る。すると輪になっていた村人たちが次々と手にしたフラフープ大の輪を花婿めがけて投げるのだ(ナワ跳びとゴム跳びの回数、躰に入った輪の数は多いほど良いとされる)。そして、輪の中から1人の女性(花嫁)が進み出て、輪の中から花婿を連れ出す。輪になった村人たちが祝福の讃歌を歌う‥‥。この奇妙な儀式を遠巻きに見物していたジュンとルミが夜空を見上げると蒼白く光る謎の物体が浮游していた。

    ▢ 低温夜、稚児寝る夜。「ネコちゃんおいで!」
    ガミッチはハリー&ヘレン・ハンター夫妻に飼われているIQ160のスーパー仔猫。2人の飼主のことを〈馬肉のせんせい〉〈ネコちゃんおいで〉というニックネームで呼ぶ。ガミッチも須和野チビ猫と同じように、成長したら人間(毛並みと同じ金色の髪の若者)に変身出来ると信じて疑わない。残忍な雌猫になるのは未だに一言も人語を発することのない低能娘のシシーの方だと思っている。ある夜、育児室に忍び込んだシシーが長いハットピンで〈赤ん坊〉の頬を引っ掻くのを目撃したガミッチは勇敢にも彼女に立ち向かう‥‥。シシーが上げた鋭い叫び声、〈ネコちゃんおいで〉の恐怖と憎悪によって、地下室へ追いやられてしまった哀れな仔猫ちゃん、〈赤ん坊〉の身を邪悪な幼女から護ろうとしただけなのに‥‥。その真実を知っているのは〈馬肉のせんせい〉だけだった。母親のヘレンから恐怖心や憎しみが遠のいた寒い冬の夜、〈赤ん坊〉の眠る育児室からガミッチを呼ぶ声が聞こえた‥‥「ネコちゃんおいで!」。

    ▢ サンダーバード隊が足掻いたドーバー探査
    ドーバー海峡でロシアの原子力潜水艦が遭難した。エンジン系のトラブルで再浮上出来ず、水深500m付近で緊急停止していた。救難信号(SOS)をキャッチしたサンダーバード隊が救助に向かう。秘密基地から発進したのは4号機を格納したサンダーバード2号である‥‥今回の事故設定は海中なんだって?‥‥水中撮影は難しいからなぁ。スタジオ内に水槽を運び込んで、初の水中撮影に挑戦するって、監督は張り切っているけれど、困ったな。特撮ドラマと言っても所詮は「人形劇」‥‥水中で戦ったゴジラやガメラなどの着ぐるみ怪獣とは格が違う。ひょっこりひょうたん島やウルトラマンだって、海中シーンは水中で撮ったわけじゃない。メカニックな遠隔操作や最新技術のCGを使わないチープでレトロな演出が「サンダーバード」の良さだったんじゃないか‥‥と特撮監督は愚痴る。海中撮影と同じく、サンダーバード隊の救助活動も困難を窮めた。酸素の少なくなった潜水艦内に閉じ込めれてた乗組員たちを一体どうやって救出したかって?‥‥オレの口からは次回のTV放映を見てくれとしか言えないなぁ。

    ▢「狐女館殺人事件」‥‥本家、寝室、惨禍、4時寝つき
    蔦に覆われて鬱蒼とした洋館は周辺の住民たちから「狐女館」と呼ばれていた。1人娘の広公路リナは5年前の冬、原因不明の高熱を発して倒れる。数日後に意識を取り戻した彼女は目が見えなくなっていた。「キツネ憑き」ではないかという噂が広がり、母親が行者を呼んで「キツネ落とし」のお祓いをしたものの全く効果がなかったらしい。その「狐女館」で殺人事件が起こった。殺害されたのは本家の主人・広公路狐太郎。寝室で倒れていた夫を発見したのは妻の今子だった。その夜は眠れなくて午前4前まで起きていたけれど、怪しい物音は聞こえなかったという。真っ先に疑われたのは血塗れのナイフを右手に持ったまま自分の寝室のベッドで気絶していた娘のリナだった。しかし、果して盲目の少女に犯行が可能なのだろうかという疑念が湧く。いずれにしても真正面から左胸を刺されていること、何者かが外部から侵入した形跡がないことなどから、顔見知りの内部犯行説疑いが濃い。ところが狐女館の容疑者は少なくなかった。本館に住んでいるのは広公路一家3人だけだったが、離れの別館にはリナの伯母・聖子や彼女の愛人、叔父一家、使用人など十数人が暮らしていたのだから‥‥。母親の依頼で迷宮探偵・綾取猫人と黒猫コロネが「狐女館」に到着する。

    ▢ 黒き梅雨、震災・原発爆発、半径30km区
    東日本大震災(3・11)による福島原子力発電所の放射能漏れが止まらない。原子炉のメルトダウン、建て屋の水素爆発、大量の汚染水漏れ‥‥などで、政府は20km圏内を立ち入り禁止の「警戒区域」、30km圏内を「緊急時避難準備区域」に指定した。地形や風向きを考慮しない同心円状の避難区域設定は、いかにも役人が考えそうな杓子定規な線引きで安全性に欠けるし、福島原発から首都圏へ飛来する放射線の測定方法も地上10m以上にある計測器の値では殆ど意味がない(地上10mの屋外にいる人間を想像する方が難しい)。少なくとも地上1m(幼児はもっと低い)で測定した結果でなければ納得出来ないだろう。原発に反対なのは万が一事故が起こった時に誰にも止められない、誰も責任を取れないからである。中高年者に残された時間は少ないけれど、多くの幼児や子供たちには、これから何十年にも及ぶ長い月日、掛け替えのない未来が待っている。原発を国策としてを推進して来た東電の幹部や政治家たちは避難住民だけでなく、子供たちに謝るべきである。頭を下げたからといって、放射能漏れが収まるわけじゃないけれど‥‥。

    ▢ 投網、夏休み誰もいない。漏れた水や津波痕
    宮城県・田代島の漁師が投網を修繕しながら述懐する。大地震が起きる前に島に棲むネコたちが高台にあるネコ神社の方へ走り出した。ネコたちの後を追って島民たちが避難したのはネコ神社に奉納された古い文献の中にあった「貞観三陸地震」(868)や「明治三陸地震」(1896)の記録に、地震や津波の襲って来る前に起こした島の動物たちの不思議な行動が記されていたからである。東日本大震災(3・11)もネコたちの地震予知行動によって、島の被害は最小限で済んだという。誰もいない海を眺めながら老人は思いを馳せる。今年の夏休みにも多くの旅行者たちが島のネコたちに会いに来てくれるかどうかと‥‥。漁師の目には田代島を訪れた若者たちがカメラを手にしてネコたちを撮影する姿だけでなく、三陸海岸の瓦礫の山と化した大津波の爪痕や福島原発事故で漏れ出た大量の冷却水(放射能に汚染された水)も、海の彼方の蜃気楼のように映っている。

    ▢ 傷ついた見合いロクデナシ。あばずれのレズは脚撫で黒い網タイツ好き
    今日は余り話したくないんだけど、喫茶マイアミで5対5の集団見合いをしたわけ。合コンじゃなくて、見合い‥‥分かるよね。目の前に坐っていた男の顔を見た瞬間に、席を立って帰ろうかと思ったわ。他の4人の男たちも同じような容姿というか印象で、キモすぎる‥‥気持ちが悪くなって吐きそうになったのは、節電による薄暗さと空調を切っているからだけじゃないと断言出来るわ。ところが、私の気分を決定的に悪くさせたのは面前のキモメンどもだけじゃなかったのよ。私は一番奥の左端に坐っていたんだけど、右隣の女が私の美脚に触って来たんだな、これが。その日は「勝負ストッキング」と言うの?‥‥お気に入りの刺繍入り黒網タイツを穿いて来たの。子ネコが女性の光沢のあるスベスベしたタイツに強い好奇心を持って爪を立てたりすることはあるけれど、よりによって見合いの席でイケメンならまだしも、レズ女が荒れた指先でネチネチ触って来るなんて!‥‥もう最悪。全身に鳥肌が立っちゃったわ。気がついたら、ケータイで意味不明な回文をツイッターに送っていた‥‥「私マイアミで見合い、マジだわ」。

    ▢ 行かせたい月、ディアフーフ。愛で築いた世界
    「月光戦隊ディアフーフ」は戦隊ヒーロー・シリーズの次回作である。月世界から来た愛と平和の戦士が地球に蔓延る悪と闘うSF特撮ドラマ。なぜ月よりの使者が地球上で闘わなければならないかというと、戦争好きの人間たちが月までを侵略しようとしているから。未来の地球は残忍で強欲なエイリアンに身も心も支配されていて、愛と平和を願う善良な市民たちは月への移住を余儀なくされていた。ディアフーフの使命は月への攻撃を未然に防ぐだけでなく、迫害されている人々を救出して月へ亡命させることだった。そのためには邪悪なエイリアンたちを地球から駆逐しなければならない。紅一点ディアピンク(松崎里美)の脱力ロリータ・ヴォイスはアニメ映画『イエロー・サブマリン』(1968)で4人の歌がブルー・ミーニーズを撃退したように、敵の戦意を喪失させる。〈パンダ・パンダ・パンダ〉〈ミルク・マン〉〈スヌーピーの波〉〈チョコ・ファイト〉‥‥ディアピンクの必殺技にエイリアンたちも萎えてフニャフニャになってしまう。楽勝かと思いきや、クライマックスには強敵「悪魔の手毬少女」との対決が待っていた。

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    • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

    • 山岸凉子「狐女」(1981)、石森章太郎「ブルーゾーン」(1968)、「星の伝説 アガルタ」(1974)などからイメージを借りています

    • 「震災大惨事」や「水無月津波」というタイトルにしようかと迷いましたが‥‥

    • ディアフーフ回文は「スニンクスなぞなぞ回文 #23」の解答です

     スニンクスなぞなぞ回文 #24

     X Day◯△◇☆▢ら▢☆◇△◯いてすぐ杖

     回文作成:sknys

     ヒント:空から原子炉衛星が落ちて来て‥‥


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    風の中の少女 ── 武井咲写真集

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    • モデル:武井 咲
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