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三日月もぎつかみ [p a l i n d r o m e]



▢ テロ?‥‥栗山千明はロスに。スロバキア血、マヤ陸路で
ロサンゼルス空港は騒然としていた。ロビーの大型液晶モニタに映し出された阿鼻叫喚の惨劇!‥‥2時間前にスロバキアのブラチスラヴァ空港内で起きた爆発火災の臨時ニュースをCNNが報じていたからだ。担架に乗せられて次々に救出される負傷者たち。レスキュー隊員が慌ただしく駆け回る現場は、消防車や救急車のサイレンと悲鳴、泣き声、怒号などで殺気立っていた。「空港内は血の海で死傷者は少なくても数百人に及ぶ。同時多発自爆テロの可能性も否定出来ない」と現地のリポーターが興奮気味に話している。CNNのニュース速報を見つめている群集の中に1人の日本人女性の姿があった。「クソッ、ついてない!」── スケジュールを調整して、やっと取れた1週間の休暇。念願の古代遺跡ツアーだったのに。何年も前から計画して愉しみにしていた「マヤ文明」への旅がロスで足止めを喰らうとは!

8年前にも渡米直前に起こった9・11の余波で、ニューヨーク・ロケがキャンセルされたことがあった。「雨女」ではなく「テロ女」かもしれないと自嘲的に笑おうしたが、頬の筋肉が強張って固まってしまった。怖いのだ。そうでなくても飛行気に乗るのは余り好きじゃない。あんなに大きな鉄の塊が地球の重力に逆らって大空を飛ぶわけがないと少女の頃から思っていた。「鉛の飛行船」じゃあるまいし。シートベルトを外して窓から外を見ると、いつも映画『トワイライト・ゾーン』に登場した飛行機恐怖症男の泣き笑いエピソードを思い出して苦笑してしまうのだ。ロス空港も対テロ最高レヴェルの厳重警戒体制下に入り、今日予定されていた全運航がストップした。メキシコ・シティ行きの旅客機も飛ばない。仕方がないので今夜はホテルに一泊。最悪の場合は陸路でメキシコ南東部〜グアテマラ〜ユカタン半島の「マヤ遺跡」まで行くことになるのかと、複雑な想いの栗山千明さんだった。

▢ 葛饅蒸かす、グズグズ花粉マスク
まだ2月中旬だというのに目がショボショボ、鼻もグズグズする。今年はスギ花粉の飛ぶ時期が例年に較べて早いのか、それとも花粉症の症状が悪化しているのか?‥‥洟水はマスクを着用することで対処出来るが、目の痒みだけは未然に防ぐ手立てがない。まさか両目を眼帯で隠すわけにも行かないし、競泳用のゴーグルを嵌めて外を歩くのも勇気がいるしね。花粉症の予防効果があるという「つくし飴」が話題になっているけれど、マメ科の多年生蔓草の「葛」にも同様の効果があることが某医大研究班の臨床実験で明らかになったらしい。昔から風邪を引いた時には「くず湯」を飲んだりするので、花粉症にも効果があるという研究リポートは信憑性が高い。早速「くず饅頭」を作ってみた。くず粉、グラニュー糖、水を混ぜ合わせて漉し器で裏漉しする。電子レンジで過熱した後に、半透明な生地になるまで掻き混ぜ、丸めておいた漉し餡を包んで蒸し器で7〜10分蒸かす。温かい湯気が鼻腔を刺戟したのか鼻がグズって来たので、愛用の花粉マスクを着用した。

▢ ハリス・アレクシーウ、砂漠はサウージ暮れ、明日リハ
ギリシアを代表する国民的歌手ハリス・アレクシーウさん。アテネ五輪(2004)の閉会式で披露した堂々とした歌唱を記憶している音楽ファンも少なくないでしょう。哀愁を帯びた力強いヴォイスはクールでエモーショナル。中近東のエグゾティックな香りも匂い立ちます。近代オリンピック発祥の地アテネはヨーロッパの中心というイメージがありますが、隣国のトルコとは目と鼻の先。ハリスはトルコの歌姫セゼン・アクスとも親交があるように、ギリシアとトルコは音楽的には地続きだったりします。だから彼女が中東のサウジアラビアで初ライヴ公演を行なうと聞かされた時も奇異な感じは全くありません。サウジに到着した日は現地の観光ガイドの案内されて砂漠地帯へ赴く。広大な砂漠の地平線に落ちて行く真っ赤な夕陽は幻想的で美しい。明日はリハーサル、明後日に首都リヤド市内でライヴ・コンサートが予定されています。

▢ スパンコール・カンガルー・コンパス
移動サーカス団の一員としてオーストラリア国内を巡業していた時のことだった。公演も盛況に終わり、これからテントを畳んで次の巡業先へ旅立つ日に、団員の誰かが記念写真を撮ろうと言い出して、全員がテントの前に並んだ。儂も舞台衣裳を着たまま加わった。この写真だ、と言ってセピア色に褪色した記念写真を見せる。右端の人物だけが何故か白く発光しているだろう。スパンコールを鏤めた衣裳がフラッシュに反射して、こんな風に映ってしまった。そう、儂はサーカス団のピエロだったのさ。不思議なことに、その後のことは全く記憶がない。気がついたら鬱蒼とした森の中を彷徨っていたのじゃ。仲間の1人から後日聞いた話によると、フラフラと夢遊病者のように森の方へ歩いて行ったかと思うと、いつの間にか姿が消えていたという。見知らぬ森の中で迷子のなったと悟った時には既に陽も暮れていた。ポケットの中に入っていたコンパスも狂っていて役に立たない。

疲れ果てて、大きな樹木に凭れるようにして眠ってしまったらしい。何かの気配を感じて目を醒すと、辺りは夜の静寂に包まれていた。前方に獣らしき動物がいた。猛獣に喰われて死ぬ運命なのかと覚悟して目を凝らすと、月明かりの中にカンガルーの仔が一頭、10mくらい先に佇んでいた。ピョンピョンと数メートル跳ねては振り向いて儂を窺う。まるで後を尾いて来いと言わんばかりの仕草だった。カンガルーの後を歩くことにした。その動作を何十回繰り返しただろうか。急に視界が開けて広大な牧草地が現われた。数km先には民家らしき建物も見える。暫く儂は、その光景に目を奪われていた。我に返って周囲を見回すとカンガルーの姿は忽然と消えていた。この不思議な体験を同僚たちに話すと大声で笑われた。あの地域にはカンガルーなんて一頭も棲息していない。きっと夢でも見たんじゃないのか?‥‥そんなことは絶対にない。儂はカンガルーに命を救われたんじゃよ。月の光にキラキラ輝くスパンコールの衣裳が幼い動物の気を惹いたのだとしても。

▢ 遺灰バリ島、保安官、アホウ鳥バイバイ
1人息子がバリ島で水死した。息子が行方不明だという国際電話のベルが鳴ったのは真夜中だった。翌日成田から急遽バリへ向かったが1週間経っても見つからず、サーフボードと僅かな遺留品を抱えて帰国しようとした日の早朝、近くの浜辺に打ち上げられていた息子の溺死体が発見された。あれから半年‥‥母親は再びバリの地を踏んでいる。亡き息子の遺灰を海に撒くために。「散骨」は20歳で急逝した息子の遺言だったわけではないけれど、この弔い方法がサーフィン好きの若者に相応しい気がして。紺碧の海を見渡す崖の上に立つ。ここまで案内してくれたのは遺体が上がったと知らせに来てくれた地元の保安官だった。息子とも懇意にしていたらしい。遺灰を指で摘んで宙に放つと、爽やかな3月の風に煽られて青い空の中へ溶けて行く。岩肌で影が踊っている。見上げると1羽のアホウドリが大空に舞っていた。バイバイ、アホウドリよ。バイバイ、バカ息子よ。

▢ 筋子とお水、猫娘飲めず。婿ねずみ男死す?
ネズミの天敵はネコ。水木しげるの妖怪ワールドでも猫娘はネズミ男を見つけるや否や鋭い歯を剥き出しにして威嚇する。しかし妖怪族とはいえ、男女の仲は傍目には皆目分からないもの。何と宿敵の2人が電撃入籍してしまったのだ。今になって思い返せば猫娘のねずみ男に対する豹変ぶりは愛情表現だったのかもしれないと、目玉親父は披露宴で感慨深げに語っていた。婚礼パーティ会場の中で1人だけ心良く思っていない女がいた。暴力団の組長に殺された後に、躰の一部が筋子となって甦った妖怪・筋子肌。彼女はネズミ男に密かに恋心を抱いていたのだ。筋子肌の復讐は手が込んでいた。結婚祝いに贈った塩漬けの「筋子」には特殊な物質が染み込ませてあって、水と混じると化学反応を起こして猛毒ズミコジスに変化する。「2人とも地獄送りにしてやる!」と北叟笑む筋子肌。直観的に不吉なものを感じた猫娘は全く手を着けなかったが、金と喰いものには意地汚いネズミ男は「筋子」を腹一杯食い、水をガブガブ飲んでしまった。ところがネズミ男は毒にシビレて悶絶死するどころか、全くピンピンしているではないか。雑食性のネズミ男には猛毒も効き目がなかったのだ。

▢ 出る熱感知、居酒屋火災鎮火‥‥抓る手
消防庁の指導で火災報知器は設置していたが、小さな店鋪なのでスプリンクラーの設備義務はなかった。自分の店を持つことが念願だったのに、開店してから未だ1年も経っていないというのに!‥‥昨夜の火事で全焼してしまった。トホホホホ。焼け落ちて焦げ臭い瓦礫の前で居酒屋「Boφwya」の主人は茫然自失していた。火の許の安全を確認して店を後にしたのが深夜2時すぎのこと。この付近一帯で最近頻発している連続放火の疑いもあるらしい。冬の空気は乾燥していたし、昨晩は北風も強かった。「ボーヤ」という屋号が良くなかったのだろうか。学生時代は軽音楽部に在籍していたし、プロ・ミュージシャンに憧れて弟子入りしたこともあった。当時大ファンだったロック・グループの名前にあやかったつもりだったけれど‥‥。水びだしになった黒焦げの残骸を目の当たりにして、彼女は無意識に右手で頬を抓っている。夢ではないかしらと思って。

▢ 舞うよ四季、次男と招く。ネグリジェ替え尻クネクネ、マドンナ色情魔?
ロンドン・マーブルアーチのマドンナ邸で年4回、秘密のパジャマ・パーティが開かれていることはファンの間でも余り知られていない。招待される客人は近所の住人や子供たちの友人、父母兄弟姉妹など。次男のデイヴィッド坊やが執事よろしく玄関ポーチでお出迎え。長女のルード・マリアと長男のロッコ・リッチもパジャマ姿で待っている。パーティの見どころはパジャマから妖艶なネグリジェに着替えたマドンナが踊るライヴ・パフォーマンスにある。ティモシー・ヒルトンは「ダンスは人々が愚かしく感じずに不合理な態度に身を置くことのできる人間の行為として是認されたものの1つである」と書いているが、マドンナのダンスはエロすぎる。この写真を撮ろうとして世界各地から芸能カメラマンやパパラッチが集まって来るけれど、今までに1枚のエロ写真も流出したことがない。ママのダンスが始まるとローラとロッコの2人は顔を赤らめて下を向いてしまう。あどけないデイヴィッド・バンダだけが喜んでママと一緒にお尻をクネクネ振ったりする。50歳になっても女盛りのマドンナさまの辞書に「老化」という言葉はない。

▢ 刷れずワンカ氏、チョコの味クジ。あの娘予知、 時間忘れず
ワンカ・チョコレートの新製品が発売される。クジ付きの板チョコで、たった1枚だけに秘密の味が「舐められる壁紙」と同じ特殊インクで染み込ませてある(当たりクジを引いた人は、若き後継者のチャーリー・バケットと一緒にガラスのエレヴェータに乗って月世界旅行に招待される)。「5枚のゴールデン・チケット」以来の大騒動が再燃するのではないかと注目を集めたが、今回は事情が異なっていた。あの不・幸運な5人の少年少女の中の1人、ヴェルーカ・サルトがワンカ氏に宣戦布告を表明したからだ。リスの穴に落ちた時の後遺症で「予知能力」を持つようになったという我がまま娘は、当たりクジ入りのチョコが並べられる店名と日時を予知してみせると大見得を切ったのだ。ヴェルーカの「予知能力」は百発百中で、今まで1度も外れたことがない。この大胆不敵な挑戦状に流石のワンカ氏も尻込みして、特殊インクの味付きクジの印刷を躊躇っているという噂も流れてほど‥‥果して新生ヴェルーカ・サルトの予知は適中するのか、それともワンカ氏が出し抜くのか、全世界のメディアが今後の成り行きを固唾を飲んで見守っている。

▢ 火田七瀬見た恥ずかしい姿。裸、水死か?‥‥素肌見せ7度
「連続全裸殺人事件」‥‥血眼になって殺人犯を追っている捜査陣を嘲嗤うかのように7人目の犠牲者が都内の荒川で発見された。サイコメトラーとして目醒めた火田七瀬は数年前から殺人課特捜班が扱う凶悪な難事件に極秘に協力していた。検死室に横たわっている遺体に七瀬の手が触れると、彼女の脳裡に白い閃光が走る。まるでロクス・ソルス邸内の死者たちの生涯で一番記憶に残っているシーンを反復再生する「驚異の部屋」のように、色鮮やかな映像が脳内の立体スクリーンに投影される。薄暗い部屋に全裸の若い女性が映っている‥‥7人目の犠牲者の他にも新たな被害者がいるのか?‥‥いや、違う。これは彼女自身を撮ったヴィデオ映像ではないか。ヴィデオ・カメラの前で恥ずかしいポーズを強要された後で、殺されたのだ。こんな陰惨な映像を7回も視るなんて!‥‥七瀬の顔色は蒼白になって、睛は怒りの炎で燃えていた。

                    *
  • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

  • 七瀬回文は「スニンクスなぞなぞ回文 #14」の解答です^^

  • 〈遺灰バリ島‥‥〉は村上春樹の短篇「ハナレイ・ベイ」のストーリを借りました

 スニンクスなぞなぞ回文 #15

 問:好きな作品◇◯△▢☆◎く◎☆▢△◯◇んひ。草薙水素

 回文作成:sknys

 ヒント:草薙水素がスピード出家しました


                    *





神話少女 栗山千明

神話少女 栗山千明

  • 撮影:篠山 紀信
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:1997/03/25
  • メディア: ハードカヴァ


週刊 真木よう子 ── おんな任侠筋子肌

週刊 真木よう子 ── おんな任侠筋子肌

  • 出演:真木 よう子 / 阿部 サダヲ / 阿藤 快
  • 監督:山口 雄大
  • メーカー:キングレコード
  • 発売日:2008/09/26
  • メディア:DVD


Sour Cherry And Bitter Orange

Sour Cherry And Bitter Orange

  • Artist: Haris Alexiou
  • Label: EMI Greece
  • Date: 2006/06/24
  • Media: Audio CD
  • Songs: Sour Cherry And Bitter Orange / Sweet Pains Neatly Woven / Craftsmen / Grapes / I Could Give Much More / I Came Back / Maybe / If You Could Only See / Dedicated To My Tears / Oh Little Heart Of Mine / I'll Gather All The Strength I Need / My Beloved Has Forgott'...

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千露

ハリス・アレクシーウもセゼン・アクスも大好きな歌手です。
私はセゼン・アクスのほうを先に知ったのですが、『イスタンブールの思い出』を聞いて一気にはまってしまい、CDを見かけるたびに少しずつ集めています。
ハリス・アレクシーウはたまたまジャケ買いしたCDが最初の出会いでしたが、その後セゼン・アクスの『Deliveren』に収録されたコラボレーションを聞きました。
どちらも哀愁を帯びた情感溢れる歌声が本当に素晴らしいですね。

私が他に持っているトルコ・ポップのアルバムにもハリス・アレクシーウの『DI EFCION』のトルコ語カヴァーが収録されているものがあります。

>ギリシアとトルコは音楽的には地続き
本当におっしゃるとおりだと思います。
by 千露 (2009-03-02 21:15) 

sknys

千露さん、コメントありがとう。
セゼン・アクスの『Gulumse』(1991)はジャケ買いでした。
哀愁を湛えた力強いヴォイスとダンス・ビート(打ち込み)の
混じり具合が斬新だった。
某閉店セールで『Yaz Bitmeden〜夏が終わる前に』(2003)をゲット!

ハリス・アレクシーウは『Paraxeno Fos』(2000)のラストで、
セゼン・アクスの〈Gidiyorum bu sehirden〉をカヴァしています。
2人のオリジナルとカヴァ(ギリシア語)をカップリングしたヴィデオが
YouTubeにあったので、サイドに貼っておきますね^^

『Vissino Ke Nerantzi〜酸っぱいチェリーと苦いオレンジ』(2006)は
まだ購入していません。
紙ジャケ仕様の国内流通盤も輸入盤も高いなぁ^^;
by sknys (2009-03-03 01:26) 

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